インド法人設立のイロハ 取締役の要件とは?
インド法人設立のイロハ 取締役の要件とは?
インド法人設立における進出形態について解説します。
インド進出を検討している日本企業の皆様、こんにちは!株インド法人設立支援事務局です。
今回は「インド法人設立に伴う取締役の要件」についてご説明します。
非公開会社における取締役の設置要件をお伝えします。
取締役の最低人数
まず、非公開会社を設立するためには、最低2名の取締役が必要です。この要件は、会社が適切に運営されるための基本的な枠組みを提供します。取締役は会社の意思決定を行う重要な役割を担っているため、複数名で構成されることが求められています。
居住取締役の必要性
さらに重要なのは、少なくとも1名の居住取締役を設置することです。居住取締役とは、当該会計年度中に182日以上インドに滞在した取締役を指します。この要件は、会社がインド国内での活動を行う上で、地域に根ざした意思決定ができるようにするためです。
新規設立時の特例
新たに法人を設立する際には、この居住取締役の要件が特に重要です。会計年度末までに182日以上インドに滞在している必要がありますが、新規設立の場合はその期間が比例して適用されるため、計画的な滞在が求められます。また、コロナの際、居住条件の特例がだされた過去もありました。都度、世界情勢などの影響を受けますが、基本182日以上滞在している取締役の設置が求められます。
取締役の国籍による留意点
選任される取締役の国籍により、セキュリティクリアランスという審査が追加で必要になります。
下記国籍に該当する場合、セキュリティクリアランスを受ける必要がでてきます。
[該当国籍]
パキスタン
バングラデシュ
中国
ネパール(特定の分野)
ブータン(特定の分野)
ミャンマー(特定の分野)
スリランカ(特定の分野)
アフガニスタン
イラン
北朝鮮
インドと陸上の国境を接する国の国籍保有者が取締役に選任される場合、内国省(Ministry of Home Affairs)による事前の安全保障上の審査(security clearance)が必要です。*2022年6月1日付けで公表された取締役選任規則改正規則によって導入。
審査結果は、登記の際の当局への提出書類(取締役就任同意書)やDINの申請書類に添付する必要があります。日本は「インドと陸上の国境を接する国」ではないため、日本国籍の取締役候補者は直接的にはこの規制の対象とはなりません。ただし、日本企業の株主(間接的な保有者を含む)に中国に所在する企業や個人が存在する場合には、近隣国投資規制の適用を受ける可能性があるため注意が必要です。既存の取締役についても、少なくとも再任の際には同様の審査等が必要になると考えられます。
この規制は、従来の株主レベルでの規制に加えて、取締役レベルにおける新たな規制を導入するものであり、インド政府が近隣国からの投資に対する規制を恒久的な制度として確立しようとする意図が示唆されています。セキュリティクリアランスによる登記申請の長期化、またセキュリティクリアランスが通らない場合のリスクを考慮した上で、取締役の選任を行いましょう。
まとめ
インドで非公開会社を設立する際には、取締役の人数や居住要件についてしっかりと理解しておくことが重要です。これらの要件を満たすことで、スムーズな法人設立と運営が可能になります。
インド市場への進出を考えている方は、ぜひこの情報を参考にしてみてください!
次回は、株主の設置要件についてお伝えします。
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