日本が他国と差をつけられる領域はあるのか?

Apr 18, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

他国に置いてけぼりになる日本のままなのか

Future of Jobs Report 2025 をもとに読み解く雇用の未来 ―

テクノロジー、気候変動、地政学的変化、人口構造の変化など、私たちが働く環境は今、かつてないスピードで進化しています。
その中で「日本が世界に対して競争優位を持てる領域はあるのか?」という問いに、世界経済フォーラム(WEF)が発行した『Future of Jobs Report 2025』がヒントを与えてくれます。

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世界的に注目されている変化のドライバー

レポートでは、2025年から2030年にかけて労働市場を変革する5つの主要トレンドが挙げられています。

☑️ テクノロジーの進化(AI・自動化・情報処理)
☑️ グリーントランジション(脱炭素と環境対応)
☑️ 地政学的分断(経済ブロック化・保護主義)
☑️ 経済の不確実性(物価高・インフレ)
☑️ 人口動態の変化(高齢化・若年人口増加)

2025年以降、世界の労働市場はかつてないスピードで変化していきます。その変化を牽引するのが、これら5つの主要トレンドです。

生成AIや自動化の進展は、業務そのもののあり方を再定義し、企業は急速にデジタル変革を迫られています。同時に、カーボンニュートラルに向けた動きが本格化し、脱炭素や環境対応に関連する新たな職種が急増しています。さらに、米中対立や戦争による地政学的な分断は、グローバルなサプライチェーンや貿易構造を変え、労働力配置にも影響を与えています。

一方で、パンデミック後のインフレや生活コストの上昇は、企業と労働者の双方にとってリスクとなり、より柔軟性やレジリエンスが求められるようになりました。そして、先進国では高齢化、途上国では若年人口の急増という人口動態の変化が、地域ごとにまったく異なる雇用課題を浮き彫りにしています。

これら5つのトレンドは、互いに独立して存在するのではなく、相互に複雑に絡み合いながら、世界の働き方や人材戦略を根本から揺さぶっています。企業や個人がこの大きなうねりに対応していくためには、「変化を読む力」「変化に適応する力」がこれまで以上に求められているのです。

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日本が強みを発揮できる領域とは?

グローバルトレンドを踏まえると、日本はどの領域で力を発揮できるかレポートを読み取り考えてみます。

1. ロボティクスと自動化技術
日本は世界トップレベルの産業用ロボット導入率を誇ります(中国・韓国・ドイツと並ぶ)。特に製造業での効率化と人手不足対策において、自動化のノウハウと実績は他国よりも先行。

➡ 自動化+高齢化社会への適応という文脈で、日本は差をつけられる分野です。

2. 精緻なプロセス管理・品質管理
日本企業の得意とする品質保証、プロセス設計、および安全分野は、将来も人間と機械の協調が求められる領域で重要。
「自動化一辺倒」ではない、**人間中心の技術活用=オーグメンテーション(補完型AI)**が、差別化の鍵となります。

3. 高齢化を逆手に取った「ケアテック」の開発
高齢化の最先進国として、介護ロボット、医療AI、遠隔医療などのニーズは非常に高く、世界に先駆けた市場形成が期待できます。

製造業で長年培った技術はロボット産業で実際に活かすことができており、これからも世界で戦える品質であることが言えます。
また、高齢化現象はある意味強みであり、高齢化社会に役立つ産業やサービス研鑽ができる”チャンス(機会)”であると言われています。

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日本が課題を抱える領域

一方で、日本が他国に比べて遅れをとっている分野も明確になっています。

AI・生成AIスキルの習得スピード
米国やインドでは、個人・企業レベルでGenAI研修が急増。日本はまだ限定的。

多様性・包括性(DEI)の取り組み
北米では96%の企業がDEI施策を導入しているが、日本は導入率が低く、変革が必要。

日本市場でも、AIを活用したサービスを提供するスタートアップが次々と誕生しており、資金調達がしやすい分野であることは間違いありません。ただし、個人レベルでのAIの活用や、企業による導入・開発のスピードという点では、他国と比べて遅れをとっている可能性があります。

また、DEI(多様性・公平性・包括性)に関しては、保守的な政権が続く他国と比較しても、日本国内で積極的に取り組まれているとは言い難く、今後の方向性には不透明な部分も残ります。グローバルの潮流を参考にしつつ、日本独自の形でDEIを推進するのか、それとも国際的なスタンダードに歩調を合わせていくのか、その動きを見守っていく必要があるでしょう。

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🇯🇵 日本 vs 🇮🇳 インド:未来の雇用トレンドから見る比較

グローバルトレンドや、日本が持つ強み・懸念点についてレポートから読み解いてきましたが、ここで改めて日本とインドの現状を比較してみたいと思います。両国の対照的な特徴が、より明確に見えてくるはずです。

項目日本 🇯🇵インド 🇮🇳
労働人口動向高齢化・労働力減少若年人口の急増(人口ボーナス期)
自動化・ロボティクス世界トップクラスの導入率導入進行中、今後の成長期待が高い
AI・GenAI教育導入意欲は高いが、現場スキルは遅れ気味企業主導のスキル開発が急速に進行
スキル再教育(Reskilling)社内育成中心、投資額は限定的国を挙げた教育強化・外部リソース活用
成長職種の傾向AI、環境系、医療福祉、プロセス管理職などソフトウェア、教育、物流、データ分析など

まとめ

日本が差をつけられる領域は確かに存在します。
ただし、それは「既存の強み(品質、自動化、高齢化対応)」をどう次世代技術と結びつけるかにかかっています。

他方、インドは人口構造と教育革新を武器に、急成長する産業とグローバル人材の供給国として台頭中。
両国は対照的な課題と強みを持ちながら、補完し合える関係とも言えるかもしれません。

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著者:株式会社インド 代表取締役 大野 理恵

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