群馬の製造業が「インド」を無視できなくなった理由――2026年、地銀・県が動く「検討の入口」とは

Jan 21, 2026By Rie Ohno
Rie Ohno

はじめに|群馬でも「インドを知る」動きが始まっている

2026年2月、群馬銀行と群馬県は、県内企業を対象にしたインド視察を実施する予定です。
対象は主に自動車関連企業で、デリー周辺の工業団地や現地企業、日系企業の拠点などを訪問し、今後の海外展開を検討するための判断材料を得ることを目的としています。

群馬銀行によれば、現時点で具体的な進出計画を持つ企業は多くありません。
それでも今回の視察が企画された背景には、「インドについて一度は正確に知っておく必要がある」という県内企業の関心の高まりがあります。

つまり群馬はいま、「インドへ投資を進める段階」ではなく、「インドを理解し、検討対象に加え始めた段階」にあると言えます。

本記事では、この“ちょうど今”の温度感を前提に、
なぜ群馬企業にとってインドが無視できない存在になりつつあるのかを整理します。

1. なぜ今、地銀が「インドを知る機会」を設けたのか

1.1 投資判断の前に、正確な情報を共有するため

群馬銀行による今回のインド視察は、進出を促すものでも、投資を前提とするものでもありません。

むしろ目的は、インドの産業集積の実態が
「日系企業がどのような形で関与している」のか「思っているほど遠いのか、それとも近い」のかを、県内企業自身の目で確認してもらうことにあります。

海外展開、とりわけインドについては、
「情報が断片的で判断できない」
「成功例と失敗例の振れ幅が大きく、怖い」
という声が多く聞かれます。

地銀と自治体が関与することで、
判断の前提となる情報を整理し、冷静に比較できる状態をつくる。それが今回の視察の位置づけです。

1.2 群馬全体が「インドを検討リストに入れ始めた」段階


現時点で、群馬企業の多くが
「すぐにインドへ進出しよう」と考えているわけではありません。

しかし、

  • 中国・ASEANだけでは将来が描きにくい
  • 国内市場の縮小は避けられない
  • 技術や事業を次につなぐ市場を探す必要がある

    こうした課題意識の中で、
    「インドを一度も見ずに判断するのはリスクではないか」
    という認識が広がり始めています。

今回の視察は、その第一歩としての情報収集フェーズであり、
群馬がインドと向き合い始めた「入口」にあたる動きだと言えるでしょう。

2. 群馬の産業構造は、インドの成長分野と重なっている

インド市場が注目される理由は人口規模だけではありません。
実は、群馬県内に集積する産業と、インドで成長が続く分野には意外なほど重なりがあります。
ここでは、自動車、食品、小売・流通という切り口から、その共通点を整理します。

2.1 自動車・部品産業:量と品質を同時に求める市場

群馬は、SUBARUを中心に、自動車・部品産業の集積地として発展してきました。インドでは二輪・四輪ともに需要が拡大し、現地調達率の引き上げが進んでいます。

ここで求められるのは、安定供給や耐久性、工程管理といった、日本のサプライヤーが最も得意としてきた分野です。

2.2 食品産業:衛生・再現性が競争力になる

群馬には、まるか食品(ペヤング)をはじめ、加工食品・製粉・包装関連の企業が多く存在します。
インドの都市部では、即席食品や加工食品の需要が拡大する一方、品質のばらつきや衛生管理が課題となっています。

日本式の

  • 製造管理
  • 衛生基準
  • 工程の標準化
    は、価格以上の価値を持つ領域です。

2.3 小売・流通:人口大国で試されるオペレーション力

ベイシアに代表される群馬発の小売・流通モデルは、インドの「近代小売×伝統小売」が混在する市場と親和性があります。
物流・在庫管理・売り場設計といったオペレーション面の知見は、今後インドで重要性を増していく分野です。

3. 群馬は“多文化共生の実践県”としての下地を持つ

海外展開の成否を分けるのは、技術や資本だけではありません。
異なる言語・文化・価値観を持つ人材と、日常的に仕事を進められるかどうかは、実務上きわめて重要な要素です。
その点で群馬は、すでに国内で多文化共生を経験してきた地域だと言えます。

3.1 ブラジル人コミュニティと共に築いた現場

群馬は、日本の中でも外国籍住民が多く、特に製造業ではブラジル人労働者と共に現場を回してきた歴史があります。

  • 言語の壁
  • 文化・宗教の違い
  • 働き方の調整
    こうした課題を、現場レベルで解決してきた経験は、インドとの協業においても大きな財産になります。

3.2 インドは「文化調整力」が成否を分ける

インドは多言語・多宗教国家であり、技術や資本以上にマネジメントとコミュニケーション力が重要です。
この点で、群馬企業はすでに国内で予行演習を終えているとも言えます。

4. インドで実際に事業を展開する群馬企業の事例

インドは「遠い将来の話」ではなく、すでに一部の群馬企業にとっては現実の事業フィールドになっています。

4.1 自動車部品|ミツバ

桐生市に本社を置くミツバは、インドに生産・販売拠点を展開し、二輪車向け部品を中心に事業を拡大してきました。
日本基準の品質管理を維持しつつ、現地ニーズに合わせた展開を進めています。

中長期的な市場対応を見据えた動きの一つとして、2026年4月にはR&D拠点の設立も予定されています。
参考:https://www.mitsuba.co.jp/jp/ir/library/files/business_rep/20251208_01.pdf

4.2 電子部品|太陽誘電

高崎市の太陽誘電は、世界中に拠点を持つグローバル企業ですが、2025年4月、満を持してインドで営業拠点を設置。
大規模投資ではなく、市場との接点を持ち続ける形でインド事業を育てています。

インドの中でも、「インドのシリコンバレー」と呼ばれるベンガルール(バンガロール)に拠点を設立し、市場拡大を狙っています。

参考:https://www.yuden.co.jp/jp/news/category/post_203.htm

5 群馬企業に合う、インドとの現実的な関わり方

インドと関わる方法は、「進出するか、しないか」の二択ではありません。
企業の規模や体力、事業内容に応じて、段階的に関与する選択肢が存在します。
最後に、群馬企業にとって現実的なインドとの距離感を整理します。

5.1 「進出」より「関与」から始める

インド市場は、

  • 技術供与
  • 部分工程の受託
  • 現地企業との協業
    など、段階的な関与が可能です。いきなり法人設立を目指す必要はありません。

5.2 地銀・行政を活用する意味

群馬銀行や行政、JETROの関与により、

  • 情報の非対称性
  • 初期リスク
    は確実に下がっています。「一社で抱え込まない」進め方が現実的です。

5.3 インドは“次の挑戦”ではなく“延長線上”

群馬の産業、多文化対応力、現場力を考えれば、インドは突飛な選択ではありません。
むしろ、これまで積み上げてきた強みを最も活かしやすい海外市場の一つだと言えます。

おわりに

インドは「特別な国」ではなく、
群馬がすでに経験してきた課題と成長の延長線上にある市場です。
地銀の動きが示す通り、今後は「検討する企業」と「何もしない企業」の差が、静かに広がっていく可能性があります。

2026年は、インドを「実際に見て、正しく理解し、自社にとっての距離感を測る」ための、ちょうどよいタイミングです。

株式会社インドは、これからインドでのビジネスを検討したいという企業様から、インドを絶対に味方につけたい企業様まで、さまざまなフェーズに合わせて最適な関わり方をご提案できます。

「まだ進出を考えているわけではない」
「まずは情報整理から始めたい」
という段階でも問題ありません。

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株式会社インドの参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
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