インドで高まる冷凍食品ニーズ|北海道農産品が選ばれる理由とは?

Sep 06, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

はじめに:インド冷凍食品市場に、北海道ブランドが活きる理由

北海道は、日本を代表する農業王国です。タマネギ、スイートコーン、ニンジン、ダイコンなど主要野菜を大量かつ安定的に供給できる生産基盤を持ちます。さらに北海道農業研究センターをはじめとする研究機関や企業が、冷凍・加工・鮮度保持技術を進化させ、液体窒素冷凍など先端技術を応用した商品も生み出されています。

一方、14億人を抱えるインドでは都市化・共働き世帯の増加・EC普及を背景に、冷凍食品市場が急拡大中。2024年に市場規模は1,910億INRに達し、2033年には5,930億INRへ成長すると予測されており、年平均成長率は13.4%にのぼります。

「便利さ」と「安全性」を求めるインド都市部の消費者にとって、北海道の冷凍野菜・カット食材・調理済み惣菜は大きなポテンシャルを秘めています。

1. 拡大を続けるインド冷凍食品市場

インド冷凍食品市場の成長を促進させる要素は以下の4つです。

ライフスタイルの変化:共働き・単身世帯の増加で時短調理ニーズが拡大。
購買チャネルの多様化:ECやデリバリーアプリの普及で冷凍食品が身近に。
商品カテゴリーの拡大:ピザ・パスタに加え、冷凍カレーやスパイススナックなど地場対応品も増加。
安全志向の高まり:食品表示や製造プロセスの透明性を重視する消費者が増加。


冷凍庫普及率の具体的な統計は限定的ですが、物流インフラや小売網の整備とともに、都市部を中心に家庭需要が高まっているといえます。

2. 北海道の冷凍食品がインドで評価される理由

インドの消費者が日本製食品に求めるのは「安全性」「高品質」「信頼性」。北海道産は特に以下の点で優位です。

高度な冷凍加工技術:液体窒素冷凍などにより鮮度・栄養・食感を保ったまま輸送可能。
農産物の安定供給力:2018年のスイートコーン収穫量は83,600トンと国内トップクラス。
ブランド力:「北海道=安心・おいしさ」のイメージは海外でも認知度が高い。
品質基準の高さ:HACCP準拠や衛生管理体制が、信頼獲得に直結。
北海道産冷凍野菜や加工食品は、「便利さ+安全性」を求めるインド都市部消費者にぴったり重なります。

3. 冷凍食品輸出に求められる【現地適応力】とは?

品質が高くても、現地ルールや文化に適応できなければ参入は困難です。

3.1 FSSAIの認可:輸入食品のパスポート

FSSAI(Food Safety and Standards Authority of India)は、インド国内で流通する食品の安全・衛生・表示に関する基準を定める国家機関です。輸入食品も例外ではなく、販売にあたっては以下の手続きが必要となります。

  • 輸入者がFSSAIの登録・ライセンスを取得
  • 商品ごとに英語表記の成分表示・原産国表示・ベジ/ノンベジマークを記載
  • FSSAI認可済みラベルを使用した包装
  • ランダム検査への対応、サンプルの提出 など

    認可の取得には一定の期間と書類整備が必要となるため、早めの準備が肝心です。また、インドの規制は変更されることもあるため、専門機関や輸出支援団体との連携も重要です。

3.2 ハラール認証:宗教文化への配慮

イスラム教徒が約2億人を超えるインドでは、食品に対する宗教的配慮も必要不可欠です。

特に肉類や調味料を含む加工食品では、「ハラール認証」の有無が購入判断に影響する場合があります。

北海道の冷凍野菜やカット野菜などは基本的にベジタリアン対応であるため、ハラール取得のハードルは低めです。

とはいえ、製造ラインや資材、交差汚染などへの配慮は必須です。日本国内でも複数のハラール認証機関があり、海外輸出を視野に入れた製品開発においては早い段階での対応が有効です。

特にインド市場で通用する代表的な認証機関には、以下のような団体があります:

Halal India:https://halalindia.co.in/
Jamiat Ulama-i-Hind Halal Trust:https://jamiathalaltrust.org/
QCI i-CAS Halal(政府主導の認証スキーム):https://i-cas-halal.qcin.org/

こうした制度対応は、単なる参入条件ではなく、信頼獲得の「証」として活用することで、ブランド構築にもつながります。

4. 北海道ブランドを届ける販路戦略

広大かつ多様なインドでは、販路戦略が成否を分けます。

4.1 越境ECを活用した都市富裕層アプローチ

Amazon India や BigBasket などの越境ECは、比較的低コストで市場テストができるチャネルです。

都市部の中間層〜富裕層は、食の安全性や品質に敏感で、日本製・北海道産というブランド力が効果的に働きます。輸送リスクや在庫管理を最小限に抑えながら、現地の反応を測る第一歩として活用しやすい点も利点です。

4.2 高級スーパー・日系小売との店頭展開

インド都市部では、高級志向のスーパーマーケット(Nature’s Basket など)が増加しており、海外製品も積極的に取り扱っています。

商品ストーリーやパッケージの工夫を通じて、“プレミアムな北海道ブランド”としての売り場づくりが可能です。日系スーパーやレストランチェーンとの連携も有望な選択肢です。

4.3 OEM・原料供給で現地製造と連携

現地の加工企業や飲食業者とOEMや原料供給の形で提携すれば、製造やパッケージングを現地で行うことができます。

これにより関税や輸送コストを抑えつつ、“北海道産原料使用”という差別化ポイントも維持可能です。自社完結にこだわらない柔軟な協業姿勢が求められます。

4.4 外食・業務用ルートへの展開

都市部ホテル、外食チェーン、給食市場などの業務用ルートは、安定的な需要が見込まれる分野です。

冷凍野菜やカット食材、簡易調理品などは、調理人材や時間の限られた現場で重宝されます。FSSAI認可済みであることや、衛生基準をクリアしている点が競争優位となります。

5. 北海道企業が取るべきアクションプラン

ステップ1:市場ニーズの把握と商品選定

展示会(IndusFood等)やJETROレポートでトレンドを調査。
冷凍野菜・惣菜など、自社の強みと市場ニーズをマッチング。

ステップ2:認証対応と品質保証

FSSAI認可、ハラール認証、HACCP対応を取得。
認証を「信頼の証」としてマーケティングに活用。

ステップ3:現地パートナー・販路の確保

商社や輸入業者と連携してリスクを最小化。
ECや高級スーパーで小規模に市場開拓。
📌 事例:ホクレン通商は北海道産冷凍野菜を香港やシンガポールへ輸出し、販路を確立。

ステップ4:小規模テスト販売から学ぶ

少量輸出で消費者の反応を確認し、味付け・パッケージを調整。
📌 事例:AIR WATER社は液体窒素を活用した冷凍技術でOEM商品を展開し、海外で販路を拡大。

ステップ5:段階的拡大と現地連携

成功したカテゴリーから惣菜やスイーツへ展開。
OEMや現地製造を通じて物流・関税コストを最適化。
📌 事例:ニチレイフーズは北米・中国・欧州で現地製造・物流体制を整備し、冷凍食品事業を拡大。
 

おわりに:北海道の強みをインドで花開かせる

インドの冷凍食品市場は、今まさに急成長期を迎えています。そのなかで、“安全・安心・高品質”という日本製品の強みは、確かな競争力となります。

北海道の農業・食品加工の力は、決して大手だけの専売特許ではありません。

むしろ、小回りの利く中小企業こそが、インドのような多様で柔軟な市場と相性が良く、新たなビジネスチャンスをつかむ可能性を秘めています。

株式会社インドは、市場調査から認証取得支援、販路構築、現地法人設立までトータルでサポートします。
北海道ブランドを武器に、ぜひインド市場で新たな一歩を踏み出してみませんか?

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参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
現地法人設立サービス https://indo1985.com/incorporation
営業代行サービス https://indo1985.com/sales-outsourcing

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