茨城発の技術がインドの生産基盤を支える：製造業の海外展開における「最適解」とは

Dec 16, 2025·By Rie Ohno

はじめに

近年、日本企業のインド進出が加速する中で、「どの地域の、どの技術がインド産業にフィットするのか」という視点が、これまで以上に重要になっています。

その中で注目されているのが、茨城県に集積する機械・プラント関連技術です。
日立製作所をはじめとする重電・機械系企業の歴史を背景に、茨城は高度な製造技術とエンジニアリング力を蓄積してきました。

本記事では、

茨城県は、日本有数の機械・電機・プラント関連産業の集積地です。
特に県北・県央エリアでは、以下の分野で高い技術力が蓄積されています。

茨城県には製造品出荷額等が全国上位の市町村も多く、
大企業と中堅・中小企業がサプライチェーンとして連携している点が特徴です。

JETROによると、茨城県は首都圏に近い立地と研究開発拠点の集積を背景に、
外資・海外展開志向の製造業が多い地域とされています。
出典：JETRO「茨城県投資環境データ」

このような背景が、海外プラント案件や新興国向け製造設備への対応力につながっています。

インドは現在、世界有数の製造拠点候補国として注目されています。
人口増加と内需拡大に加え、政府主導の製造業振興策が追い風となっています。

代表的なのが、「Make in India」政策です。
この政策では以下の分野を中心に、国内製造と外資誘致が進められています。

これに伴い、工場建設、製造ライン構築、プラント設備導入といった分野で、日本企業の技術力が強く求められています。

特に「品質」「安定稼働」「長期運用」を重視する分野では、日本式の設備設計・保全ノウハウが評価されています。

では、なぜ数ある日本の製造拠点の中で、茨城の機械・プラント技術がインドと相性が良いのでしょうか。

理由は大きく3つあります。

茨城には、発電・化学・インフラ向けなど、
大規模プラント案件を前提とした設計・製造・施工管理の経験があります。
これは、インドで増加する大型工場・インフラ案件と非常に親和性が高い要素です。

中小企業を含めた産業集積により、
「部品供給だけ」「装置単体」ではなく、
製造ライン全体・工程設計まで対応できる企業が多い点も強みです。

近年は、インド国内生産を前提とした

といった形での進出が増えています。
この段階的な現地化モデルは、茨城の製造企業が得意としてきた領域です。

実際にインドでは、日系企業による製造拠点の高度化が進んでいます。
建設機械分野では、日印合弁による現地生産が拡大し、
日本の技術をベースにした製品がインド国内外へ供給されています。

例えば、Tata Hitachi Construction Machineryは、
日本の建設機械技術を活用し、インド国内に複数の製造拠点を展開しています。
出典：Tata Hitachi公式

このような動きは、「日本の技術 × インドの市場・人材」という形で、
今後さらに広がっていくと考えられます。

茨城の機械・プラント技術は、その中核を担う存在になり得ます。

茨城県に集積する機械・プラント技術は、
インドが求める「信頼性の高い製造設備」「長期運用を前提としたプラント」に非常に適合しています。

これらを背景に、茨城の技術はインド産業の成長を下支えする存在となっています。

インドを次の製造拠点として検討する日本企業にとって、
茨城発の技術・企業との連携は、現実的かつ有力な選択肢と言えるでしょう。

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