【2025年決定版】インドM&Aの地殻変動:3メガバンク「1兆円投資」をチャンスに変える

Dec 24, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

はじめに

2025年末、日本経済の主戦場は明確にインドへと移りました。日経新聞が報じた通り、三菱UFJ、みずほ、三井住友の3メガバンクは、インド市場へ合計1兆円を超える巨額出資・買収を実行しました。

銀行が動くとき、そこには必ず「実体経済の爆発的な成長」があります。彼らが巨額のリスクを取って整備した「資金と信用の道」は、これからインドへ挑む製造業・小売業の皆様にとって、かつてないほどの「追い風」となります。

この記事では、なぜ今動くべきなのか、そして少し皆様の背中を押せるような日本企業の取り組み事例についてお伝えします。

インド進出の1つの手法としてM&Aも検討いただけたら幸いです。

1. 金融の「1兆円」が製造・小売業にもたらす恩恵


3メガバンクによる1兆円規模の投資は、実業に携わる皆様に直接的なメリットをもたらします。

三菱UFJ (MUFG): ノンバンク大手への約7,000億円の出資により、インド中間層の「消費データ」にアクセス。皆様が商品を売る際の「ターゲット選定」や「割賦販売」を金融面で強力にバックアップ。

みずほFG: 現地投資銀行の買収を通じ、日本企業の「インド企業買収(M&A)」をサポートする体制を構築。
三井住友FG: 商業銀行への出資で、現地における「運転資金の供給」や「決済網」を強化。

金融インフラが整ったことで、これまでの「手探り」の進出ではなく、確かなデータと資金的裏付けに基づいた「戦略的な買収」が可能になったのです。

2. 日系企業のインド進出事例


慎重と言われる日系企業の中でも、成長を確信したプレイヤーは、既に「支配権」を伴う買収を成功させています。

2.1 製造業:コクヨ株式会社

2025年、コクヨは親会社である米国の家具メーカー「HNI コーポレーション」から株式を取得し、インドのオフィス家具製造大手の「HNI オフィス インディア」を買収し、完全子会社化しました。

これにより、工場を建てる数年間のロスを避け、即座に「稼働中の工場」と「全土の販売ネットワーク」を掌握することができました。日本式の品質管理を注入しながら、現地の販路をそのまま使うことで、進出初年度からトップシェアを狙う戦略です。

2011年には、連結子会社のコクヨS&Tがインドの大手文具・画材メーカー、カムリン社の株式過半数以上を取得し、両社が共同経営といった形で、それぞれの強みを活かしインドで販路を広げていました。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF303Q20Q5A430C2000000/

2.2 ロジスティクス:センコーグループホールディングス株式会社

センコーグループホールディングス株式会社は、PDS International Pvt. Ltd. (インド、以下:PDS社)の51%の株式を取得し、グループ化しました。

同社は2022年にインド現地法人を設立し、現地でのフォワーディング事業を推進してきました。インド国内での通関事業や国内輸送に強みを持つPDS International Pvt.Ltdと協業することで、インド国内でのモーダルシフトや冷凍冷蔵物流など新事業の実現に取り組んでいく狙いがあるとのことです。

参考:https://www.nihon-ma.co.jp/news/20250418_9069-22/

2.3 製造業:日東精工株式会社

極小・精密ねじの製造を強みにもつ同社は、2024年にVulcan Forge Private Limitedと株式譲渡契約を締結し、Vulcan Forge Private Limited およびその子会社である Vulcan Cold Forge Private Limitedを100%子会社化しました。

これにより、南アジアへの初進出を成し遂げたとともに、サービスラインアップの拡充、特にファスナーなどこれまでの主力事業以外を中心とした販路を拡大に成功しました。

参考:https://www.nittoseiko.co.jp/news/news_2024/vulcan.html

3. 外資系企業のインド投資事情

欧米を中心とした外資系企業も積極的なインド投資を進めています。また、それだけでなく、日本のお隣韓国もまた、インドを注力している国の1つです。

3.1 テック企業のインド投資

アマゾンはAI主導のデジタル化、輸出の伸び、雇用創出を推進するため、2030年までにインドに350億ドルを投入すると発表しています。
一方マイクロソフトはインドのAIエコシステムの強化に175億ドルを投じると表明しています。

新興のAIおよびクラウドインフラの中心地であるインドでは、最近、世界的な技術投資が急増しており、グーグルはAIデータハブ構築に150億ドルの投資を発表し、インテルがムンバイに拠点を置くタタ・エレクトロニクスとの提携を、同社の140億ドルの半導体製造計画における最初の主要顧客として発表しています。

すでにインドに拠点がある企業たちの積極的な追加投資があることも、インド市場の特徴です。

参考:https://www.bbc.com/news/articles/c3w79pgn8peo

3.2 韓国のインド投資

韓国は、製造業・造船業・半導体等の先端技術などに強みを持っています。
インドは、韓国にとっても注目の投資先です。

特に、ヒュンダイ自動車は韓国国外発の子会社であるヒュンダイ・モーター・インディアをインドで保有しており、2024年の中で2番目に大きなIPOとして高い評価を受けました。

LGエレクトロニクスは、生産増強のためインド新工場に6億ドルを投資。今後インドでのIPOを目指し、着々と規模を拡大しています。

日本と同じように製造業やテクノロジーに強みを持った韓国のインド投資・進出は、日本企業の脅威になりかねません。

各国の動きを参考に、インドへの関わり方を積極的に検討する必要があります。 

4. なぜ今、製造・小売業が「M&A」を検討すべきなのか

3メガバンクが投じた1兆円の資金は、今後、インド国内の消費をさらに加速させます。

「売る場所」を買う:
インドは州ごとに商習慣が異なり、販路構築に5〜10年かかります。M&Aなら、その時間を「明日」に短縮できます。

「信頼」を買う:
外資への警戒感がゼロではない中で、現地企業を買収することは、その企業が築いてきた「地域社会・政府との信頼関係」を継承することを意味します。

「制度」を使い倒す:
インド政府の「メイク・イン・インディア」の優遇策をスムーズに受けるには、既に操業実績のある企業を買収するのが最も確実です。
 

つまりM&Aはリスクはあるものの、現地での販路・製造ラインなどのリソースを最短で手に入れることができる手法であり、メガバンクが投資を強化したいま、そのリスクが低い状態で挑戦できる環境が整ったのです。

まとめ

三菱UFJ、みずほ、SMFGの3メガバンクが見せた「1兆円の決断」。これは、インドという巨大な市場を、日本が「金融」という足場から共に支え、成長させる覚悟の表れです。

金融・インフラが整った今、次なる主役は、その舞台で実際に価値を届ける「製造業・小売業」の企業です。

3メガバンクが作った「1兆円の追い風」を、貴社の事業拡大に活用しませんか?

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参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
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