インド営業人材の採用・活用ガイド〜現地採用・代行の選び方と実務対応まで〜

Sep 11, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

はじめに:インド営業人材の確保が未来を分ける

インドに進出した日本企業がまず直面するのが、「商流をどうつくるか」という課題です。

製品やサービスが優れていても、それを現地企業や消費者に届ける営業人材がいなければ成果にはつながりません。

特に営業活動は、その国の文化や慣習、言語、商談スタイルを理解してこそ初めて機能するものです。

近年、インドの営業職市場は活況を呈し、日系企業による現地人材の採用や、営業代行の活用といったニーズが増加しています。

本記事では、インドにおける営業人材の確保・活用手法を整理し、制度設計や外部委託までを含めた最適な選択肢をご紹介します。

1. インド営業市場の現在地──需要の高まりと人材の特性

インドは14億人の人口を抱える巨大市場であり、都市化の進展とともにBtoB・BtoC問わず営業人材の需要が増しています。

求人サイトLinkedInやNaukri.comでは、毎日数千件の営業職募集が更新されており、その中には日系企業によるローカルスタッフの募集も多く見られます。

特徴的なのは、営業職に対するキャリア意識の高さと成果主義の傾向です。

インドでは成果に応じた報酬制度が浸透しており、若くして高いコミッションを狙う人材も多いのが実情。

デジタルツールのリテラシーも高く、SaaS営業やインサイドセールスにも対応可能な人材が多く存在します。

2. 現地採用でインド営業人材を確保する方法と実務

2.1 採用チャネルの選択

インドで営業職を採用するには、大きく分けて以下のようなチャネルが活用されます。

2.1.1 日系人材紹介会社(JAC、Pasonaなど)
日系企業の文化や採用要件を理解しているため、ミスマッチが少なく、迅速な人材紹介が可能です。

日本語対応や日本企業勤務経験のある人材の紹介実績も多く、採用後の定着率も比較的高めです。

費用はかかりますが、確実性を重視する場合に最適です。

2.1.2 ローカル求人ポータル(Naukri、Monster)
インド最大手の求人ポータルで、母集団形成には非常に効果的です。

英語を中心に多様な業種・職種に対応しており、コストも抑えられます。

ただし、募集内容の設計やスクリーニングには現地に精通したスタッフのサポートが不可欠です。

2.1.3 SNSリクルーティング(LinkedInを活用)
インドではLinkedInが転職活動のメインツールとして定着しており、営業職経験者の多くがプロフィールを公開しています。

ターゲット人材への直接アプローチが可能で、自社ページのブランディングにもつながるため、採用広報と併用すると効果的です。

特に、職務要件がはっきりしている場合や、即戦力を求める場合は人材紹介会社の利用が有効です。

2.2 募集条件の設計

営業職の募集に際しては、以下の項目を明確にしておく必要があります。

2.2.1 職務内容と営業タイプの明確化(新規開拓/ルート営業など)
インドの営業人材を採用する際には、職務範囲をできるだけ具体的に定義する必要があります。

新規開拓型の営業なのか、既存顧客との関係構築・アフターフォローを中心としたルート営業なのかによって、求めるスキルや性格特性は大きく異なります。

曖昧な職務設計は早期離職につながるリスクがあるため、面接前から明示しておくことが重要です。

2.2.2 求める語学スキル・業界経験の指定
英語はビジネス共通語として一般的ですが、南部・東部など地域によってはヒンディー語以外の現地言語スキルも業務上求められる場合があります。

また、対象業界(製造、消費財、BtoBサービスなど)の経験があるかどうかも重要な選定基準になります。

特に専門性の高い分野では、即戦力性を重視して業界経験者を優先的に採用する傾向があります。

2.2.3 報酬レンジとインセンティブ制度の設計
インドの営業人材は「成果報酬」への意識が強いため、固定給に加えて成果に応じたインセンティブ制度の設計がカギになります。

売上歩合、獲得件数ボーナス、KPI達成報酬など、成果と連動する仕組みを明示することで、応募者のモチベーションを高められます。

報酬条件を明示して募集することで、事前に人材の質をコントロールしやすくなります。

2.3 オンボーディングと定着

インド人材は柔軟性と順応性が高い一方、定着には動機づけと評価制度の設計が重要です。

採用後は、製品知識の研修や営業同行、OJTを通じて現場理解を促すオンボーディングプロセスを整えることで、即戦力化が可能になります。

また、定期的なKPIレビューや1on1面談により、モチベーションと帰属意識を高めることが長期的な成果につながります。

3. 契約形態と人事制度設計──インド人材の雇用実務を理解する

3.1 雇用形態の選択肢

インドの営業人材を活用する際には、以下のような雇用形態から選択できます。

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3.2 法務・税務・社会保障の基礎

3.2.1 就業契約書の作成と法的効力
インドでは労働契約の口頭合意も一部有効とされますが、特に外国企業による雇用の場合は英語の書面による雇用契約書が不可欠です。

勤務時間、職務内容、報酬体系、守秘義務、解雇条件などを明記し、万が一のトラブル時にも法的に主張できる根拠とすることが重要です。

また、契約は州法の影響も受けるため、地域ごとの労働法制度の理解も必要です。

3.2.2 所得税(TDS)の源泉徴収義務
インドでは、企業が従業員に給与を支払う際、源泉徴収(TDS=Tax Deducted at Source)を行い、税務当局に納付する義務があります。

適用される税率は年収帯によって異なり、年次更新があるため注意が必要です。

従業員のPAN(納税者番号)取得支援や、Form 16(源泉徴収証明書)の発行など、税務管理の体制整備が求められます。

3.2.3 社会保障制度(EPF・ESICなど)への加入対応
インドの従業員が一定条件を満たす場合、企業はEPF(雇用者積立基金)やESIC(従業員国家保険公社)などの社会保険制度への加入義務が発生します。

EPFは基本給の12%を企業が拠出し、従業員も同率で負担します。

ESICは医療・出産手当を中心とした保険制度で、対象となるのは月収2.1万ルピー以下の従業員です。

制度変更も頻繁なため、法改正への追随が欠かせません。

4. 営業代行・外部パートナー活用

営業人材の確保が難しい場合や、初期段階での柔軟な市場開拓には、営業代行や外部パートナーの活用も視野に入ってきます。

4.1 営業代行とは?

営業代行とは、第三者の法人や個人に営業活動の一部または全部を委託する手法です。特にインドでは、以下のようなケースで活用されています。

4.1.1 進出初期で法人設立や雇用が難しい場合
現地法人をまだ設立していない、または雇用体制が整っていない段階では、営業代行を活用することで、最小限のリスクとコストで市場テストや販路開拓が可能になります。

初動の足掛かりとして有効です。

4.1.2 ニッチな地域や業界へのアプローチが必要な場合
特定の州・都市、あるいはインド国内でも限られた業界への営業には、現地特化型の営業代行が効果的です。

地域文化や業界慣習に精通しているため、ターゲットとの関係構築がスムーズに進みます。

4.1.3 成果連動型で営業活動を効率化したい場合
成果報酬型の営業代行を活用すれば、無駄な固定費を抑えながら、売上や成果に応じた効率的な営業活動が実現できます。

リスク分散とコスト最適化を両立したい企業に適した手段です。

4.2 外部パートナーの探し方と契約時の注意点

営業代行会社を選定する際は、過去の実績や取引先、対象業界への理解度を重視しましょう。日本語対応が可能な企業を選ぶことで、意思疎通の齟齬を防ぎやすくなります。


また、契約時には、秘密保持契約(NDA)や成果指標(KPI)、成果報酬型の報酬体系などを明確に記載し、トラブルを未然に防ぐ仕組みづくりが重要です。信頼性と透明性の両立が、安定した営業活動につながります。

5. 費用対効果で比較する雇用・委託のコスト設計

以下は、営業人材確保における代表的な選択肢ごとのコスト比較イメージです。

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企業フェーズに応じて、段階的に活用するハイブリッド戦略も効果的です。

6. インド営業展開を成功に導く運用・マネジメント

採用・契約後も、成果を最大化するには【運用フェーズ】が鍵を握ります。

6.1 営業目標の明確化──KPIで進捗を可視化

営業人材のパフォーマンスを最大化するには、売上・新規リード件数・訪問件数など、明確なKPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。

定量目標が曖昧だと、営業活動が属人化しやすく、評価や改善につながりません。

数字に基づいた進捗管理と、KPI達成に向けた継続的なレビューが、安定した営業成績を生み出す基盤となります。

6.2 報酬制度の工夫──成果に応じたインセンティブ設計

インドの営業人材は「成果が報われる仕組み」に高いモチベーションを感じます。

固定給に加え、売上や成約数に応じたコミッションや成果ボーナスを設計することで、自発的な営業行動を促せます。

加えて、短期目標と連動した報酬制度にすることで、行動促進と離職率の低下という両面での効果が期待できます。

6.3 定期的なレビューと同行営業──現地との連携強化

営業活動の質を高めるには、現地マネージャーと日本本社との間での定期的なレビューが欠かせません。

業績報告の場を持つだけでなく、可能であれば日本側が現地に赴き同行営業を行うことで、顧客対応や営業スキルの評価・育成が可能になります。

文化や市場感覚のギャップを埋め、戦略と現場をつなぐ好機となります。

6.4 離職防止策──キャリア・評価・学びの設計

インドでは優秀な営業人材ほど他社からの引き抜きリスクも高まります。

長期的な定着を目指すには、明確なキャリアパスの提示や、公平な評価制度、能力開発を支える研修制度の導入が鍵となります。

「この会社で成長できる」「評価されている」と感じさせる環境整備が、信頼と定着の土台を築くうえで不可欠です。

営業人材の【定着】と【成果】は一体です。仕組み作りと人材理解を両立させることが成功のポイントです。

まとめ:営業人材戦略がインド市場を拓くカギとなる

インド市場における営業体制づくりは、単なる人材確保ではなく、事業成功そのものを左右する戦略的テーマです。

現地採用か、営業代行か、EOR活用か。

それぞれの方法には一長一短があるため、自社のフェーズや事業特性を踏まえた判断が必要です。

採用から制度設計、運用支援までを一気通貫でサポートするパートナーと連携することで、スムーズな現地展開と着実な商流形成が実現できます。

私たち株式会社インドは、日本企業の皆様のインド進出という名の壮大な冒険を、情熱と専門知識を持ってサポートするプロフェッショナル集団です。

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参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
現地法人設立サービス https://indo1985.com/incorporation
営業代行サービス https://indo1985.com/sales-outsourcing

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