インドの離職率は本当に高いのか? ── 定着しない理由と、人が辞めない企業の共通点

Feb 03, 2026By Rie Ohno
Rie Ohno

はじめに|インドの離職率は「高い」のではなく「考え方が違う」

インド進出や現地採用を検討する日本企業から、よく聞かれる不安のひとつが
「インドは離職率が高いのではないか」という点です。

確かに、日本と比べるとインドでは転職が一般的で、人材の流動性も高い傾向があります。
しかしそれは、「人が定着しない国」という意味ではありません。

実際には、
離職が起きやすい企業には共通する構造があり、
逆に、人が長く働き続ける企業にも明確な共通点がある
ということが、複数の調査や企業事例から見えてきています。

本記事では、インドにおける離職の背景を整理したうえで、インドで人材を定着させるために、企業側が設計すべきポイントを具体的に解説します。

1 インドで離職が起きやすい理由

1.1 転職は「当たり前のキャリア選択」

インドでは、転職はネガティブな行動ではなく、
キャリアを前に進めるための合理的な選択と捉えられています。

数年ごとに環境を変えることは一般的
転職=スキルと市場価値を高める行動
同じ役割・同じ条件が続くことは停滞と見なされやすい
そのため、日本的な「長く勤めること=評価される」という前提のまま組織を作ると、価値観のズレが生じやすくなります。

1.2「成長している実感」がないと離職につながる

インド人材が離職を考える際、最も重視する要素のひとつが
「この会社にいて、自分は成長できているか」という点です。

以下が見えにくい環境では、離職リスクが高まります。

  • スキルがどう積み上がっているのか
  • 次に目指せる役割・ポジション
  • 今の仕事が将来にどうつながるのか

給与だけでなく、「成長のストーリー」が示されているかが重要です。

2 日系企業で離職が起きやすいポイント

2.1  評価・昇給の基準が伝わっていない

日系企業に共通しやすい課題のひとつが、
評価や昇給のロジックが社員に十分伝わっていないことです。

  • なぜこの評価なのか分からない
  • 何を達成すれば昇給・昇格できるのか不明確
  • フィードバックが少ない
    評価制度そのものよりも、「説明不足」が離職の引き金になるケースは少なくありません。

2.2 裁量や意思決定の機会が限定的

成長意欲の高い人材ほど、

  • 任されたい
  • 判断に関わりたい
  • 自分の意見を反映させたい
    という欲求が強い傾向があります。

意思決定がすべて本社主導で進み、現地社員の裁量が小さい場合、「この会社ではこれ以上成長できない」と判断されやすくなります。

2.3 上司との対話不足

離職理由として見落とされがちなのが、
直属の上司との関係性です。

  • 定期的な1on1がない
  • フィードバックが年1回のみ
  • 日常的な会話が少ない
    こうした環境では、不満が蓄積され、
    条件が大きく変わらなくても転職を選ぶケースがあります。

3 インドで離職率を下げるための具体策

3.1  キャリアパスを「言語化」する

インドで定着率が高い企業に共通するのは、
キャリアの道筋が明確に言語化されている点です。

例えば、

  • 1年後・3年後の役割イメージ
  • スキルや成果と昇格の関係
  • 次のステップに進むための条件
    をあらかじめ示すことで、
    「この会社にいれば、こう成長できる」という安心感を与えられます。

3.2 入社後90日間を意図的に設計する

離職が最も起きやすいのは、入社初期です。
有効とされているのは、

  • 期待されている役割の明確化
  • 小さな成功体験を積ませる業務設計
  • 定期的なチェックイン(週次・隔週)
    入社後90日間を「放置しない」ことが、早期離職防止につながります。

3.3 フィードバックの頻度を増やす

年に1回の評価面談だけでは、十分とは言えません。

  • 月1回の1on1
  • 成果だけでなくプロセスへのフィードバック
  • 改善点と期待をセットで伝える
    こうした継続的な対話が、エンゲージメント向上と定着につながります。

 
4 離職率とどう向き合うべきか

4.1 離職率ゼロを目標にしない

インドでは、一定の離職は前提条件と考える方が現実的です。
重要なのは、

  • 入社してすぐ辞める人を減らす
  • 育てた人材が短期間で流出しないようにする
  • キーパーソンを定着させる
    という「質」を意識した離職率管理です。

4.2 属人的対応ではなく制度で支える

人材定着に成功している企業ほど、

  • 評価制度
  • キャリア設計
  • フィードバックの仕組み
    が、特定の上司や担当者に依存せず、
    誰が運用しても回る形で整備されています。

4.3 日本式をそのまま持ち込まない

日本では暗黙の了解で済むことも、
インドでは明確に言語化しなければ伝わりません。

  • 期待を言葉にする
  • 判断基準を共有する
  • 対話の量を増やす
    これらは、インドでは「離職防止策そのもの」と言えます。

 
おわりに|インドの離職率は「設計でコントロールできる」

インドの離職率は、日本と同じ基準で見ると高く感じられるかもしれません。
しかしそれは、インドの労働市場とキャリア観の違いによるものです。

  • 成長が見えているか
  • 評価が説明されているか
  • 対話が仕組みとして存在しているか

    これらを整えることで、インドでも人材は十分に定着します。

離職率を「避けるべきリスク」と捉えるのではなく、
組織設計を見直すための指標として向き合うこと。
それが、インド事業を安定的に成長させるための第一歩です。

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株式会社インドの参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
現地法人設立サービス https://indo1985.com/incorporation
営業代行サービス https://indo1985.com/sales-outsourcing

出典(参考リンク)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/cfbcd1087c1bb1d4.html
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2024/0303/6549a37f23dbf407.html
https://www.sociabble.com/in/blog/employee-engagement-in/employee-retention/
https://www.forbes.com/sites/sylviavorhausersmith/2012/07/02/how-to-stop-employee-turnover-in-india/