インド進出におすすめの主要都市5選|業種別・目的別に徹底比較

May 15, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

界最多の人口と約7%の経済成長率を誇るインドは、日本企業にとって「進出を検討する価値がある」段階を超え、「どのように進出すべきか」が問われる時代に突入しています。

とはいえ、インドは単一国家でありながら、地域ごとに文化・宗教・制度・言語、さらにはビジネスの常識まで異なります。
どの都市を拠点に選ぶかで、ビジネスの成否が大きく左右されるのが実情です。

本記事では、インド進出を検討する企業の皆さまに向けて、主要都市ごとの特徴や向いている業種、進出判断時の落とし穴までを網羅的にご紹介します。

*もし、「インド進出を検討し始めたばかり」という場合は、インド進出ことはじめも、ぜひお役立てください。
インドの基本情報や心得ておくべきマインドセット、ファーストステップなどをまとめています。

1. インドの主要都市マップと位置関係

インドは、広大な国土にさまざまなビジネス都市が点在しており、それぞれが独自の特性を持っています。以下が主なエリアと都市の概要です。

北部:デリー(政治・官公庁の中心)
西部:ムンバイ(商業・金融・物流の中心)
南部:バンガロール、チェンナイ、ハイデラバード(IT・製造・医薬の集積地)
東部:コルカタ(労働力豊富な物流拠点)

まずは、どこに何があるか、という「地理感覚」を押さえることが都市戦略の第一歩です。

引用元:JETRO 地域分析レポート

2.  インド主要都市のビジネス環境と産業特性の比較

インドは「1つの国、複数の世界」とも言われるほど、地域によってビジネス環境がまったく異なります。
産業の集積、行政の姿勢、宗教・言語・文化、インフラの整備状況――すべてが都市ごとに個性を持っています。

ここでは、日本企業の進出先として特に注目される主要都市を取り上げ、それぞれの産業特性と進出に向いている業種、文化的背景などを詳しく解説します。

「どの都市が自社にフィットするのか?」を考える上でのヒントとしてご活用ください。

デリー|政治と産業が交わる、日系企業の要所
特徴:中央政府との接点が多く、官公庁向けや規制対応型ビジネスに適性。周辺のグルグラムなどには日系製造業も集積。
向いている業種:商社、官公庁関連、製造、コンサルティング
文化背景:ヒンディー語圏、ヒンドゥー教中心。日本食や学校もあり生活面も整備済。冬の大気汚染に注意。
 
ムンバイ|商業・金融・文化の交差点
特徴:証券取引所や多国籍銀行、消費市場も大きく、広告やメディア系も強い。物流・輸出入の玄関口。
向いている業種:金融、消費財、小売、広告、貿易
文化背景:マラーティー語・ヒンディー語圏。多宗教都市(ヒンドゥー教・イスラム教・キリスト教)。洪水・渋滞リスクに注意。
 
バンガロール|ITとスタートアップの震源地
特徴:「インドのシリコンバレー」。外資系IT、スタートアップ、エンジニア人材が豊富。
向いている業種:IT、SaaS、研究開発、スタートアップ
文化背景:英語通用度が極めて高く、気候も快適。国際都市として駐在員にも人気。
 
チェンナイ|製造業と自動車の南の要
特徴:日系製造業の拠点都市。港湾機能も強く、サプライチェーンの起点としても重要。
向いている業種:自動車、部品、重工業、海運
文化背景:タミル語圏でヒンディー語が通じにくい。日本企業が多く、現地受け入れ体制も良好だが、夏は酷暑。
 
ハイデラバード|ITと医薬が交わる次世代都市
特徴:テック企業と製薬業が共存。多国籍R&D拠点としての評価も高く、インフラや空港整備が進む。
向いている業種:BPO、IT、製薬、バイオテック、研究開発
文化背景:テルグ語とウルドゥー語が混在。宗教ごとに生活区域が異なるため、現地理解が重要。

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3. 進出前に確認すべき4つのポイント

都市の候補が見えてきたとしても、進出を成功させるにはまだ多くの検討が必要です。
インドは、国としての法制度・文化的多様性に加え、州ごとの制度差やインフラ格差が非常に大きく、「都市を選んで終わり」ではありません。

ここでは、実際に拠点を構える前に必ず押さえておきたい4つのチェックポイントをご紹介します。事前準備の精度が、インドでのビジネス成功を大きく左右します。

1. 州によって制度や優遇策に大きな差
インドは連邦国家。外資を歓迎する州もあれば、手続きが煩雑な州もあります。
ハイデラバードやムンバイのある州は、日系企業の進出実績も多く、制度面の安心感があります。

 
2.人件費も人材の質も“都市しだい”
インドの人件費は一律ではありません。バンガロールは人材の質が高い分、コストも高め。
製造業であれば、ブルーカラー人材が集まる都市のほうがコスパは良好です。

 
3.言語と宗教の違いが業務に影響する
北部ではヒンディー語、南部ではタミル語やテルグ語などが使われており、英語も万能ではありません。
また、宗教上のタブー(牛肉・豚肉など)や祝日も、業務運営に関わります。

 
4.インフラは“使えるかどうか”が重要
港・空港・ネット回線があるだけでは不十分。
郊外や地方では停電・通信不安定も多く、BCP(事業継続計画)や物流戦略に直結します。

4. 失敗事例に学ぶ都市選定の落とし穴

インド進出でよくある落とし穴の一つが、「都市選定の誤り」です。
企業は往々にして、「港があるから物流に強そう」「IT都市と聞いたから」といったイメージ先行で拠点を決めてしまいがちですが、インドでは地理的・文化的な要因がビジネスの成否に直結します。以下は実際に日本企業が直面した典型的な失敗事例です。

 
事例①:「物流重視」で東部に進出 → 技術人材が不足し生産開始に遅れ
ある日系製造業は、港湾の利便性だけを重視して東部のコルカタに生産拠点を設立。港は確かに優れていましたが、想定していたレベルの技術者が集まらず、採用に大きく苦戦。
結果、工場稼働が半年以上遅れ、想定よりも大幅なコスト超過となりました。

🔍 ポイント:人材供給源となる工科大学・産業集積との距離も重要です。

 
事例②:「人件費の安さ」で南部へ → 宗教・文化への配慮不足で現場混乱
別の日本企業は、人件費の安さに惹かれてタミル・ナドゥ州の地方都市に進出。しかし、現地の休日や宗教的な習慣に配慮せず、祝日も稼働させるなどしたため、早期退職や労使トラブルが頻発。
特に、食習慣や信仰に触れる無自覚な発言が現地従業員の不信感を招いたという報告もあります。

🔍 ポイント:宗教・文化を軽視したマネジメントは、採用・定着の壁になります。

 
事例③:「IT都市ならどこでも大丈夫」→ インフラの差で稼働トラブル
IT企業が「とにかくIT人材が多いから」と南部都市にR&D拠点を設立。しかし、郊外地域だったため電力供給が不安定で、ネット回線の遅延や停電が頻発。BCP(事業継続計画)が機能せず、顧客対応にも支障をきたしました。

🔍 ポイント:インドの「都市内格差」にも注意。中心部と郊外でインフラ水準が大きく異なります。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?

インド進出では、単に「大きな市場だから」という理由だけで都市を選ぶのは危険です。目的や業種、戦略に応じた最適な都市選定こそが、進出成功の第一歩です。

検討方法に悩んだら、ぜひお気軽に、まずは60分無料のカウンセリングセッションをご活用ください。
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参考URL:
市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
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