2026年版|インドで戦う日本企業を知る

Rie Ohno
Aug 07, 2026By Rie Ohno

公的データで読み解く「日系企業のインド進出」のリアル

インドへの進出や事業拡大を検討する際、JETROの実態調査に加えて押さえておくべき「重要データ」があります。マクロの投資マネーの動きから、経営者の心理まで、客観的な数字からインド市場の現在地を紐解きます。

本日は、2026年版日本企業のインド進出の現在を紐解きます。

1. JBIC(国際協力銀行)調査:中長期的な「有望度」でインドが首位独走

JBICが日本の製造業を対象に実施している「海外直接投資アンケート調査」は、経営層の「今後3年程度の有望な事業展開先」を測る最重要指標の一つです。

インドの立ち位置: 長年トップを争っていた中国が地政学的リスク等で回答率を落とす中、インドは「有望な事業展開先」として首位を獲得、維持しています。
インサイト: アンケート回答には「販売機能」の拡大意欲が60%を超えており、かつての「安価な製造拠点」から「巨大な消費市場」へと、日本企業のインドに対する見方が完全にシフトしたことを証明しています。

インド政府の継続的指針はあくまで「Make In India」であり、インドで製造した製品を海外へ輸出して外貨を稼ぐことがまだまだ主流です。今後は、インド製をインド国内で流通し消費することの方が重要視され、その流れにシフトしていくでしょう。

2. インド政府(DPIIT)データ:日本はインドにとって「第5位」の巨大投資国

「意欲」や「トレンド」だけでなく「実際にお金は動いているのか?」を見るには、インド商工省産業国内取引促進局(DPIIT)のFDI(海外直接投資)データが有効です。

2000年〜2023年末までの累積データを見ると、日本企業のインドへの本気度が具体的な数字で表れています。



日本のFDI累計額

約414.6億米ドル
(全外国中 第5位、シェア約6.2%)

投資先業界 TOP3

1位: 自動車産業(17%)

2位: サービス業(14%)

3位: 医薬品(11%)

投資先エリア TOP3

1位: マハラシュトラ州(29%)

2位: ハリヤナ州(19%)

3位: デリー(14%)

インサイト: 自動車産業がトップなのはスズキなどの歴史を見れば納得ですが、注目すべきは「サービス業」が14%で2位につけている点です。製造業のサプライチェーンだけでなく、金融、IT、物流、小売など、非製造業のマネーが確実にインドに流れ込んでいます。

3. 在インド日本国大使館データ:大都市圏から「面」への展開

大使館が発表している「日系企業拠点数」の推移を見ると、企業の「多拠点化」の波がはっきりと見えます。

拠点展開のトレンド: 企業数(1,434社規模)に対して、拠点数は5,200拠点を超えています。これは1社あたり平均3.6拠点を構えている計算になります。デリー近郊やムンバイだけでなく、チェンナイ、ベンガルール、さらにはグジャラートや北東部へと、ビジネスの裾野が広がっています。
インサイト: 拠点が分散するということは、それだけ「州をまたいだ税務・法務管理」や「遠隔での現地スタッフのマネジメント」の難易度が上がることを意味します。

4. 2026年インドに新規参入した企業リスト

さて、2026年にかけてインドへ新規進出(現地法人や子会社の設立)を発表した企業をピックアップしました。製造業からITや商社、サービス業まで幅広いプレイヤーが動いています。*各社公式プレスリリースなどから情報を得て掲載しております。

1. 日本光電工業株式会社(医療電子機器)

時期: 2026年1月設立
概要: 医用電子機器用ソフトウェアおよび社内ITシステムの開発強化、スピード向上、コスト削減を目的として、インドに新たな技術開発子会社を設立。ハードウェアの製造ではなく、「ITエンジニアリソースの獲得」に特化した進出です。

2. 株式会社浜正(機械工具・伝導機器の専門商社)

時期: 2026年2月設立
概要: 大阪に本社を置く中堅商社です。日系製造業のインド進出が進む中、現地での部材調達や工場自動化への支援ニーズが高まっていることに商機を見出しているように思います。初年度から売上2億円の目標を掲げており、商流のローカライズを強みにしています。

3. オルガノ株式会社(総合水処理エンジニアリング)

設立: 2026年2月設立(ムンバイ)
概要: 経済成長に伴う水需要の爆発的な増加と環境規制の強化を見越し、「ORGANO INDIA PRIVATE LIMITED」を設立。まずは市場調査を主目的としていますが、インフラ課題が山積するインドにおいて、水処理というコアな社会課題に食い込むための布石です。

4. I-PEX株式会社(コネクタ・センサー製造)

設立: 2026年5月
概要: 半導体製造装置やコネクタの販売・技術サポート体制を強化するために現地法人を設立。モディ政権が強力に推進する「インド半導体エコシステム構築」の波に乗り、技術サポートを現地化して商機を逃さないためのスピーディーな意思決定です。

5. 株式会社講談社 × 大日本印刷株式会社(DNP)

設立: 2026年7月設立、秋事業開始(デリー)
概要: 日本の総合出版社がインドに現地法人を設立し、紙の書籍や漫画を出版するのは初の試みです。「Kodansha India」として立ち上げ、DNPが製造管理を担います。製造業だけでなく、日本の「コンテンツ・エンタメIP」が本格的にインド市場を面で取りに来ています。

6. ダイキン工業株式会社(空調設備)

設立: 2026年7月(デリー)
概要: 単なる製造・販売拠点ではなく、グローバルサウス全体に向けた「研究開発(R&D)機能」を担う子会社を設立。インドを「世界のハブ」として活用するフェーズに入っていることがよくわかります。

7. キユーピー株式会社(食品メーカー)

設立: 2026年9月設立(ハリヤナ州)
概要: 約2億円を投じ、マヨネーズやドレッシングの輸入販売を行う100%出資の販売会社を新設。これまでは東南アジア拠点が中心でしたが、インドの巨大な中間層の胃袋を直接狙いに行くB2Cの動きとして非常に象徴的です。

8. ゼネパッカー株式会社(包装機械メーカー)

設立: 2026年9月設立(デリー)
概要: 愛知県に本社を置く包装機械の中堅メーカーです。2026年6月の取締役会でインドに100%子会社の設立を決議。これまでは代理店経由などの間接的なアプローチが多かった中堅機械メーカーが、自前で販売網を構築しにいく「直接投資」の好例です。

インド進出企業は本年は昨年と比較しても増えていくと予測しています。
これまでは大手企業を中心に進出をしていましたが、中小企業も追随する勢いです。
大手クライアントの進出により、取引先である企業の進出が昨年から増加傾向にあります。

これを機に、海外進出の選択肢に「インド」を加えてみるのもいかがでしょうか。

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