なぜ今「インド×EOR」なのか?日本企業が注目すべき理由とは

Aug 07, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

今、なぜ「インド × EOR」が注目されるのか?


人口14億人を抱える巨大市場インド。

製造・IT・サービスなどあらゆる産業が成長し、海外からの投資も右肩上がりに伸びています。その中で近年、日本企業の間で静かに注目を集めているのが「EOR(Employer of Record)」という雇用モデルです。

EORとは、インドに現地法人を設立せずとも、現地人材を合法的に雇用できるスキーム。

進出初期のスモールスタートや、テストマーケティング、人的支援などの場面で柔軟に活用され始めています。

本記事では、日本企業がインドでEORを活用する際の基本から、法務・税務上の注意点、活用事例までをご紹介していきます。

1. EORとは何か?──インドで注目される背景と活用シーン

EORとは、雇用契約の形式上は「EOR提供企業」が従業員の雇用主となり、給与計算・社会保険加入・納税義務などを代行する仕組みです。

採用・管理は日本企業側の指示に基づいて進められますが、法的責任はEOR提供者が担います。

この仕組みが注目される理由は、インド進出における「現地法人設立のハードル」の高さにあります。時間もコストもかかるうえ、会社設立後の運営にも法務・税務対応が必須です。

EORを活用すれば、それらの負担を一切負わずに現地で人材を雇い入れることが可能。以下のようなケースで有効です。

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2. EORのメリット・デメリット

インド進出において、「まずは人材から着手したい」「社内に設立ノウハウがない」といったニーズを持つ企業にとって、EOR(Employer of Record)は大きな選択肢となります。

従来の「現地法人を立ち上げてから雇用を始める」という段階的プロセスとは異なり、EORはスピーディーかつ柔軟な対応を可能にします。

とはいえ、すべての場面において万能というわけではありません。メリットとデメリットを正しく理解し、自社の目的や体制に適した導入判断が求められます。

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しかし、どんなに便利なスキームであっても、法務・税務面の落とし穴を見落としてはいけません。次章では、EOR活用時に企業として押さえておきたいインド特有の法務・税務リスクについて整理していきます。

3. インドEOR活用で避けては通れない法務・税務の基本知識

EORを導入すれば、法人設立の手間なくインド人材を活用できるという点は非常に魅力的です。しかし、「雇用」や「報酬」が発生する以上、法務・税務面での確認や備えは欠かせません。

特にインドでは、PE(恒久的施設)課税や源泉徴収(TDS)、社会保障制度(EPF・ESIC)など、日本とは大きく異なるルールが存在します。これらを軽視すると、後々企業にとって大きなリスクとなる可能性も。

この章では、インドでEORを活用する際に必ず押さえておくべき法務・税務の観点について、4つの視点から解説していきます。

3.1 PEリスクをどう避けるか──法人なき事業拠点と見なされないために

日本企業がインドで事業活動を行う際、現地法人を設立せずに継続的な収益活動を行うと「恒久的施設(PE:Permanent Establishment)」と見なされ、インド側で法人税課税対象となる可能性があります。

EORを利用することでこのPEリスクを軽減できる一方、業務指示の仕方や契約範囲によっては、事実上の「指揮命令関係」が問題視されるケースも。

契約設計とオペレーション上の分離が重要です。

3.2 EORが担う現地税務対応──TDS・GST・EPF・ESIC

EOR事業者は、雇用された従業員に対して給与計算や源泉徴収(TDS)、社会保障(EPF、ESIC)、消費税(GST)などの対応を代行します。

日本企業は煩雑なインド税務に直接対応せずに済みますが、EORとの契約において「どの範囲まで対応するか」を明文化しておくことが重要です。

また、TDS(所得税源泉徴収)については、日印租税条約の適用も含め、事前の確認が欠かせません。

3.3 労働契約の明確化──労働条件・責任範囲の線引きを

インドでは、労働契約の内容が曖昧な場合、トラブルの原因になることが多く、後の労使紛争リスクにもつながります。

EOR経由での雇用であっても、日本企業が実質的に労働条件を指示・管理していると見なされることもあります。

雇用契約における職務範囲、就業時間、休暇、解雇規定などをEORが明確に定義することが不可欠であり、契約書レビューも日本企業側でしっかりチェックすべきです。

3.4 「名ばかりEOR」への注意──業務委託との境界線を理解する

近年、EORを謳いながら実態は単なる業務委託に近いケースも見られます。

例えば、採用された従業員に対して日本企業が直接業務命令を出し、EORが形式的に名義貸しを行っている場合、法的に不適切とされる恐れがあります。

EORモデルの本質は【雇用契約の主体はEOR側にある】点です。この点が曖昧になると、万一の際の責任所在やPEリスク、雇用トラブルにおける対応で企業側が不利になる可能性があります。

4. EORを正しく導入する4つのステップ


「どこから手をつければいいかわからない」という声は少なくありません。

EORは制度として新しいぶん、社内理解が追いつかないことも。ここでは、導入に必要な手続きと流れをステップ形式で整理しましょう。

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ステップ1:雇用目的と人材要件を整理する
まずは、

「なぜ現地人材が必要なのか」

「どんなスキル・役割を持たせるのか」を明確化します。

営業・マーケ・技術支援・事務など業務内容によって、EORの適用範囲や契約形態も変わります。

ステップ2:EOR事業者と相談・比較
複数のEORサービス企業と接点を持ち、料金・対応範囲・現地サポート力を比較します。

日本語対応の有無も重要です。

ステップ3:契約と業務定義
業務指示の方法、マネジメント体制、個人情報保護などを盛り込んだ契約書を取り交わします。

必要に応じて法務専門家のチェックを推奨します。

ステップ4:採用・運用の開始
人材の選定・面談を経て雇用がスタート。

給与支払い・保険加入・評価制度などはEORを通じて運用されます。

5. こんな企業にこそEORは有効──現場で見えた成功パターン


「自社にも当てはまるかもしれない」──そんな気づきが生まれるのが、他社の具体例です。


ここでは、実際のEOR活用事例から、導入のヒントと活用可能性を探ってみましょう。

【パターン1】IT人材を現地採用 → 将来の法人設立に布石
日系IT企業が、プロジェクト対応を見据えて現地エンジニアをEOR経由で採用。2年後に法人設立へスムーズに移行。

【パターン2】製造業が技術指導のために短期人材を雇用
新規設備の導入に伴い、現地拠点に技術スタッフをEORで配置。短期間での稼働に対応しつつ、品質サポートを実現。

【パターン3】販売代理店との連携強化のため営業人材を採用
製品の販路拡大を目指す製造業が、現地代理店との間に営業スタッフを配置。EOR活用で雇用コスト・手間を抑制しながら連携力を強化。

【まず人材から】、がインド進出の新常識に


現地法人を持たずに、インド人材を活用できる「EOR」は、変化の激しい今の時代にこそ適した戦略的手段です。

とくに初期フェーズでの市場把握やプロジェクト対応には、スモールスタート型のEORが最適。リスクを抑えながら、確かな一歩を踏み出すことができます。

私たち株式会社インドは、日本企業の皆様のインド進出という名の壮大な冒険を、情熱と専門知識を持ってサポートするプロフェッショナル集団です。

インド市場に関する深い知識と、豊富な経験に基づき、お客様のビジネスの成功に不可欠な情報と、魔法のようなソリューションを提供します。

私たちの現地法人設立サービスは、お客様一人ひとりの個別のニーズに合わせて、まるでオーダーメイドの冒険プランのようにカスタマイズされます。市場調査、競合分析、参入戦略立案、ビジネスパートナー探し、法務・労務に関するアドバイスなど、インドビジネスに関するあらゆるご要望にお応えします。

参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
現地法人設立サービス https://indo1985.com/incorporation
営業代行サービス https://indo1985.com/sales-outsourcing

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