【仕事の金言】アンダーザテーブル文化は存在する
みなさん、こんにちは!インド人のラフルです。
今日から、「インド人と仕事をするための金言」をシリーズにてお届けします。
我々インド人と仕事をする日本人の方よりよく訊かれる質問などを踏まえ、コミュニケーションや円滑に業務を推進する方法をお伝えできればと思います。
インドのアンダーザテーブル文化はいまだ存在するのか?
インドは急速な経済成長を遂げ、多くの分野でデジタル化が進む一方、腐敗や不透明な取引が完全に根絶されたわけではありません。その現状、背景、そして改善への取り組みについて解説します。
結論として、現在でも「アンダー・ザ・テーブル」のような慣習が一部に残っています。印象的な出来事として、今でも記憶に残っているエピソードがあります。
ある時、取引先のクライアントから 「見積もりと領収書をいただけますか?」 という依頼がありました。
プロジェクトに関する正式な申請手続きを円滑に進めるため、数千ルピー程度の費用(担当する方へ数千ルピーを手渡しする)が必要になることを説明しました。(弊社では、不正な取引や賄賂には一切関与しません)その際、クライアントから上記の依頼を受けました。
日本企業の立場として、このような要望があることは十分に理解できます。しかし、この話を現地スタッフに伝えたところ、「領収書を発行するのは難しいのでは?」 という若干何を言っているんだ?という反応がありました。(どのような所得であっても、適正に申告・納税する義務があることを忘れてはなりません!)
日本のクライアントとインドの間に入っている立場の弊社としては、双方の反応を理解できます。少し費用を払わざるおえない状況も実際にあるため、領収書の発行などをリクエストをされ困った経験は今でも記憶に残っています。
現状:根強く残る腐敗の影響
インドは2023年の「腐敗認識指数」で180カ国中93位と評価されています。依然として腐敗が深刻な課題であることが示されています。
特に以下の分野で「アンダーザテーブル」の文化が問題視されています。
官僚機構と公共サービス: 官僚的な手続きの煩雑さが賄賂を助長し、公共サービスや許認可取得の場面で不正が発生しやすい状況があります。
地方行政と司法: 地方レベルでは、警察や裁判所における不正が市民生活に直接的な影響を及ぼしています。
特定産業: 鉱業や不動産など、資源配分が絡む産業では、不透明な取引や賄賂が依然として横行しています。
背景:腐敗を助長する要因
インドにおける腐敗は歴史的・構造的な要因に根ざしています。官僚的規制と複雑性
「ライセンス・パーミット・ラージ」と呼ばれる過剰な規制文化は、経済活動を阻害し、不正行為を助長してきました。
透明性の欠如
行政手続きや資金配分の透明性が低いことが、不正行為を隠蔽しやすい環境を作り出しています。
文化的寛容性
一部では賄賂が「必要悪」と見なされる風潮があり、市民もそれを受け入れる傾向があります。
改善への取り組み
インド政府は近年、腐敗撲滅に向けた様々な対策を講じています。デジタル化の推進政府手続きのオンライン化(e-Governance)により、人間による介入を減らし、不正行為の余地を縮小しています。
Aadhaar(個人識別番号)システムやデジタル決済の普及は、補助金漏れや現金取引による不正を防ぐ効果があります。
法整備と執行力の強化2018年改正「汚職防止法」では、贈賄行為も犯罪として明確に規定されました。新たに導入された「電子初動報告書(e-FIR)」制度は、不正行為の通報を容易にしています。市民意識と社会運動「情報への権利法(RTI)」は、市民が政府活動について情報を取得し、不正行為を監視するための重要な手段となっています。
課題と展望
これらの取り組みにもかかわらず、「アンダーザテーブル」の文化が完全に消滅するには時間がかかります。
以下は主要な課題です。
法執行力の不足: 腐敗防止法は存在するものの、その適用には一貫性と迅速性が欠けています。
地方レベルでの抵抗感: 地方行政では依然として不透明な慣習が根強く残っています。
デジタル格差: デジタル化による恩恵が都市部中心であり、農村部では浸透していない場合があります。
結論
インドでは「アンダーザテーブル」の文化が完全には消えていないものの、デジタル化や法改正などによって徐々に改善が進んでいます。企業としては、現地で事業を展開する際に以下の点を意識することが重要です。
現地法規制への徹底した準拠
デジタルツールや透明性向上策を活用したコンプライアンス体制
現地専門家との連携
インド市場には大きな可能性があります。しかし、それと同時に持続可能で倫理的なビジネス環境を構築するためには、政府・企業・市民社会全体で協力して腐敗撲滅に取り組む必要があります。
*インド市場へ興味ある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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