インド現地採用のすべて〜手続き、制度、採用チャネル、成功のヒント〜

Aug 21, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

急成長するインド市場。

若年人口の多さ、旺盛な消費需要、デジタル化の加速など、日系企業にとって大きな魅力を放つ一方で、「人材確保」が最大の課題として立ちはだかっています。

特に現地での採用──いわゆる「現地採用」の仕組みをどう設計し、実行していくかは、進出企業の競争力を大きく左右する要素です。

本記事では、インドにおける現地採用の基本から実践的なノウハウまで、法制度・チャネル選定・待遇設計・日本人採用まで網羅的にご紹介します。

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1. インド現地採用とは?──定義とメリットを整理する

1.1 現地採用と駐在員の違いとは?

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現地採用とは、現地法人やプロジェクトで直接雇用される人材を指し、インド国内において常駐・勤務する前提で契約が結ばれます。

これは、駐在員のように日本本社の命令で派遣されるケースとは異なり、給与体系や福利厚生も現地基準が基本となります。

もっと駐在員について知りたい方は・・・
▶️「インド現地法人設立」と「駐在員事務所」どちらが最適?目的別に比較解説|日系企業向け進出ガイド

1.2 インド現地採用と駐在員のメリット・デメリットとは

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インド人材の現地採用におけるメリットは、何よりコスト面の最適化と、ローカル市場への浸透スピードの早さです。

加えて、言語・商慣習への対応力が高く、事業拡大の中核メンバーとして育成しやすいのも特徴です。

2. インド現地採用の方法──日系企業が活用できる5つのチャネル

インド現地採用のチャネルは多様ですが、どれを選ぶかによって「採用スピード」「コスト」「人材の質」「定着率」が大きく変わります。
ここでは代表的な5つのチャネルを紹介しつつ、それぞれの メリット・デメリット や、どんな企業・職種に向いているか を整理します。

2.1 人材紹介会社(例:RGF、JACなど)

多くの日系企業が頼りにしているのが、現地に強い日系・外資系の人材紹介会社です。
RGFやJACは、営業・技術・バックオフィス職など幅広く対応し、日英両対応のスタッフが多い点も安心材料です。

メリット:候補者の質が比較的高く、ミスマッチが少ない。採用プロセスがスムーズ。
デメリット:紹介手数料が高額になりがち。大量採用や初期フェーズではコスト負担が重い。
向いている企業/職種:中堅以上の人材を早期に確保したい日系メーカー・商社。営業、マネジメント、専門職。

2.2 インド国内の求人サイト(例:Naukri、Indeed)

インド最大手の求人サイトNaukri.comは、即戦力採用に効果的です。応募者のスクリーニング機能や、地域別・業種別に特化したターゲティングが可能です。

メリット:母集団形成が容易で、応募数が多い。コスト効率が高い。
デメリット:応募者の質が玉石混交。書類・面接の選別負担が増える。
向いている企業/職種:コールセンター、営業、ITエンジニアなど人材需要が多い職種。大量採用を行いたい企業。

2.3 大学・工科系キャンパスとの連携

「Yaaay Freshers」に代表されるキャンパス採用は、優秀な理工系・ビジネス系人材を新卒段階から囲い込める方法です。

メリット:長期的に育成可能な若手人材を獲得できる。企業ブランドを浸透させやすい。
デメリット:即戦力性は低く、育成コストがかかる。採用競争が激しい。
向いている企業/職種:製造業・IT企業・研究開発職。インドで中長期的に拠点を拡大したい企業。

2.4 日本人向け採用チャネル(noteなどの体験談)

日本人の現地採用は、SNSやnoteでの体験談発信をきっかけに増えており、個人が直接企業にアプローチするケースも多く見られます。

メリット:日本語対応ができ、日系企業との文化的親和性が高い。小規模拠点立ち上げで重宝。
デメリット:候補者数が少なく、給与・待遇の期待値が高い。
向いている企業/職種:営業、オペレーション、品質管理など、日本本社との調整が多い職種。

2.5 リファラル(従業員紹介)活用

現地スタッフからの紹介は、信頼性と定着率の高さが特徴です。インセンティブ制度を設ける企業も多く、文化的にも自然な採用手法です。

メリット:採用コストが低い。紹介者の信頼関係があるため定着率が高い。
デメリット:候補者層が限定的になりやすい。スキルの偏りが出やすい。
向いている企業/職種:バックオフィスや営業サポートなど、人物面の信頼性を重視する職種。

👉 まとめると

  • 即戦力や幹部候補を求めるなら「人材紹介会社」
  • 大量採用なら「求人サイト」
  • 長期的な育成なら「キャンパスリクルート」
  • 日本語・文化対応重視なら「日本人現地採用」
  • 信頼性重視なら「リファラル」
    といったように、企業の成長段階や職種ニーズによって使い分けることが重要です。

3. インドの雇用制度と注意点──契約・法制度・社会保障の基本

3.1 個別契約が基本──雇用契約書の重要性

インドでは、労働者との間で締結する「雇用契約書(Employment Contract)」が非常に重要です。

契約内容は原則として雇用主と労働者の合意に基づいて成立し、口頭合意ではトラブルに発展するケースも多いため、文書化が必須です。

勤務時間、業務範囲、報酬、休日、解雇条件などの明示が求められ、特に日系企業では日本流の【暗黙の了解】が通じないため、曖昧な表現は避ける必要があります。

企業側は法的リスク回避の観点からも、現地の弁護士や社労士のチェックを受けた契約書の作成を心がけましょう。

3.2 州ごとに異なる労働法──最低賃金と労働時間

インドの労働関連法は、連邦政府と州政府の二重構造となっており、最低賃金や就業規則も州ごとに異なります。

たとえばデリーでは最低賃金が高めに設定されている一方で、他州では大きく水準が下がることもあります。

また、週休や勤務時間、残業の取り扱いも地域によって変わるため、進出エリアに応じた労務管理が不可欠です。

全国一律の制度と誤解していると、罰金や訴訟リスクを招く可能性もあるため、現地事情の把握と定期的なアップデートが求められます。

3.3 社会保障制度の義務──EPFとESICとは?

インドでは、従業員数や給与額に応じて企業側に社会保障制度への加入義務が課せられます。

代表的なものが「EPF(従業員積立基金)」と「ESIC(従業員国家保険)」です。

EPFは、一定の収入以上の社員に対し、会社と社員が同率で拠出する年金制度です。

一方、ESICは、比較的低所得層の医療費補助や傷病手当を目的とした保険制度です。

これらは義務加入対象の企業で未対応の場合、法的措置や罰則の対象になるため注意が必要です。採用時点から給与体系との整合性を見ながら制度設計を行いましょう。


3.4 外部委託・契約社員の活用と注意点

インドでは、外部の人材派遣会社を通じての間接雇用や、契約社員としての雇用も一般的です。

人件費の柔軟な調整や業務範囲の限定化が可能で、事務・清掃・セキュリティなど非中核業務を外注する企業が多く見られます。

ただし、派遣会社が労務問題を起こした場合でも、実質的な雇用主として企業側に責任が及ぶ可能性があるため、信頼性の高いパートナーを選ぶことが前提です。

また、契約社員に対しても明確な雇用条件と就業管理を設けておくことで、トラブルのリスクを軽減できます。

4. 現地採用の給与水準と待遇設計──期待と現実のギャップを埋める

インドの給与相場は日本より圧倒的に低いものの、近年は都市部を中心に上昇傾向が続いています。

営業職で月給2〜4万INR(約4〜8万円)、技術職で5万INR(約10万円)を超えることもあります。

日系企業の多くは、給与の他に交通費、医療保険、年次昇給などの手当を付加しており、【安心感のある福利厚生】が求職者の大きな魅力になっています。

また、日本人の現地採用では、【現地通貨+海外医療保険+住宅補助】がセットになったパッケージもあり、駐在との待遇格差をどう埋めるかが課題になります。

5. 現地採用後の定着と育成──失敗しないマネジメントのコツ

採用後の定着率は、文化理解と評価制度の設計で大きく左右されます。

インド人材は、「上司の関心」と「成長機会」を求める傾向が強く、職務設計が曖昧だったり、評価がブラックボックス化していると早期退職に繋がります。

導入段階でのオンボーディング研修や、定期的なキャリア面談、明確な昇給ルールの提示などが鍵となります。

日本式マネジメントを一方的に押しつけず、現地スタッフの声を反映した仕組みづくりが求められます。

6. 日本人の現地採用──働き方の柔軟性とリアルな実態

「現地採用の日本人」としてインドに渡るケースも増加中です。

多くは30〜40代のミドル人材で、営業やオペレーション管理などの職種が中心です。

駐在員とは異なり、日本本社との関係が限定的なため、現場裁量が大きくやりがいを感じる一方、給与・待遇には割り切りが必要です。

就労ビザ(Employment Visa)の取得、健康保険や医療環境の確認、現地生活のイメージを事前に持っておくことが重要です。

7. 現地採用を成功に導くポイント──専門家と現地パートナーの活用

採用を自社だけで完結させようとせず、現地に強いパートナーの活用が成功の鍵です。

人材紹介会社、労務コンサル、法務アドバイザー、現地社労士などを巻き込み、採用・契約・制度設計まで一気通貫で支援を受けられる体制づくりをおすすめします。

また、HR Techツール(勤怠管理・評価支援システム)を導入すれば、インド側と日本側でのマネジメントの透明性を担保できます。

まとめ:「人の採用」こそが、インドで勝ち抜く起点になる

インドにおける現地採用は、単なるコストダウン施策ではなく、「成長戦略の一環」として捉えるべきです。

制度対応や待遇設計には課題も多いですが、それを乗り越えた企業は、強固な現地組織とブランド力を手に入れています。

日本の強みを活かしながら、インド人材の可能性を信じて未来を共創する──その第一歩が、戦略的な現地採用なのです。

私たち株式会社インドは、日本企業の皆様のインド進出という名の壮大な冒険を、情熱と専門知識を持ってサポートするプロフェッショナル集団です。

インド市場に関する深い知識と、豊富な経験に基づき、お客様のビジネスの成功に不可欠な情報と、魔法のようなソリューションを提供します。

私たちの現地法人設立サービスは、お客様一人ひとりの個別のニーズに合わせて、まるでオーダーメイドの冒険プランのようにカスタマイズされます。市場調査、競合分析、参入戦略立案、ビジネスパートナー探し、法務・労務に関するアドバイスなど、インドビジネスに関するあらゆるご要望にお応えします。

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参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
現地法人設立サービス https://indo1985.com/incorporation
営業代行サービス https://indo1985.com/sales-outsourcing

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