インドの驚くべき配送技術?! 世界最高峰のお弁当屋さんとは…

2022.7.20

インドの驚くべき配送技術?! 世界最高峰のお弁当屋さんとは…

2013年に絶賛されたボリウッド映画「The Lunchbox」は、「ダッバーワーラー(Dabbawala)」がムンバイの経済に重要な役割であることが描かれています。「ダッバー」とは金属製のお弁当箱のことです。「ワーラー」とは、〇〇する人という意味。 つまり、ダッバーワーラーとはお弁当を配達する人のことです。

ダッバーを持つダッバーワーラー

1890年から今日まで、ムンバイには多くのダッバーワーラーが長年活躍しています。ダッバーワーラーの活動は、ムンバイの入り組む複雑な通りを横切り、1日あたり260,000箱を町中に届けて取引います(Thomkeより2012年調査結果より)。ミスなく、自転車を活用し環境に優しい方策で、高水準のデリバリーサービスを実現しています。このシステムに関する驚くべきことは、彼らが配達するお弁当の数だけではありません。 むしろ、時間通りに適切な人にお弁当を届けることにより、食品の品質を維持することも実現できています。

1890年、銀行で働く男性がプネ近郊の村の1人に、自宅からオフィスに毎日お弁当を届けるよう依頼しました。その配達ぶりを見た人たちから、仕事の依頼が殺到しました。それに応えるため、当時銀行員だった男性は100人の男性のチームでお弁当の配達サービスを開始しました。これが、今日知られているダッバーワーラーシステムの起源となりました。

ベジタリアンが食べるお弁当

当時形成されたチームで働くダッバーワーラー達は、字を読むことができませんでした。どのように配達指示を出していたのでしょうか。記号と色を伝えることで、配達先などを認識できるようにしていたそうです。 ダッバーの収集場所である駅のカラー、目的地の駅の番号、建物の床のマークなど記号や色などを駆使していました。

昨今、多くの新興企業がダッバーワーラーサービスの人気を脅かしています。ダッバーワーラーサービスのメリットの一つは、低価格です。ほとんどの顧客は、家庭料理の配達に対し月額Rs.450しか支払いません。 低価格の同サービスに匹敵する新興企業は、現在に至るまでもなかなか現れていません。

ムンバイ独自のダッバーワーラービジネスは、真のインスピレーションの源です。 食品産業に関わる企業は、従来サービスに匹敵するサービスや事業を生み出すため様々な挑戦をし続けています。歴史が長く、技術革新もしているダッバーワーラーの効率的なシステム維持は、今後何年にも渡り続いていくことでしょう。

ダッバーワーラーをより知りたい方は、ぜひパワン・アグラワル博士のダッバーワーラーに関するTEDトークをご覧ください。

出典:
Thomke, S. (2012). Mumbai’s Models of Service Excellence. Retrieved from https://hbr.org/2012/11/mumbais-models-of-service-excellence

Thomke, Stefan H. “The Dabbawala System: On-Time Delivery, Every Time.” Harvard Business School Teaching Note 613-062, October 2012. (Revised September 2013.)

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