インド進出にハイデラバードを選ぶべき理由とは?

Sep 04, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

1. 進出都市の選定がビジネス成功を左右する理由

インドは14億人超の人口を抱える巨大市場。多くの日本企業が進出を検討していますが、「どの都市を拠点に選ぶか」はビジネスの成否を決める重要な判断です。

インドは国土が広く、文化・商習慣・インフラ・産業構造が都市ごとに大きく異なります。そのため業種や目的に応じた最適な都市選びが欠かせません。

近年、グローバル企業から強い注目を集めているのが、南部テランガナ州の州都 ハイデラバード です。
日本ではまだ知名度が高いとは言えませんが、IT・イノベーションの中心都市として急成長を遂げており、JETRO(日本貿易振興機構)も現地調査やセミナーを展開し、日本企業への情報提供や連携支援を積極的に進めています。

本記事では、ハイデラバード進出のメリットを5つの視点から解説し、他の主要都市との比較を通じてその可能性を示します。

 2. ハイデラバードとは?ITとイノベーションの拠点都市

項目

内容
位置・概要インド南部テランガナ州の州都。IT都市として急成長中。
人口都市部約680万人、都市圏で1,000万人超。
公用語英語、テルグ語、ウルドゥー語など。ビジネスでは英語が広く通じる。
主な産業IT(ソフトウェア・AI・バイオ)、製薬、製造業、観光。Google・Microsoftなどが拠点を設置。
主要交通機関ラジーヴ・ガンディー国際空港、市内メトロ、鉄道網。空港は中心部から約25km。
主な大学・研究機関IIT Hyderabad、IIIT-H、ハイデラバード大学など。高度人材の供給拠点。
生活環境

年間平均26〜30℃で比較的乾燥。駐

在員にも暮らしやすい都市。

ハイデラバードは「サイバラバード(Cyberabad)」と呼ばれるほどIT産業が集積する都市です。
マイクロソフト、グーグル、アマゾン、メタ(旧Facebook)など米国大手がR&D拠点を構え、世界中のエンジニアや起業家が集まっています。

また、IIT(インド工科大学)ハイデラバード校をはじめとする研究機関から、AI・機械学習・IoT分野の人材が次々と輩出されています。
日本企業の進出事例はまだ限られていますが、楽天やパナソニックといった先行企業が注目を集めています。

さらに、JETROの資料ではハイデラバードがスタートアップ分野で「成長都市(Growing)」として紹介されておりJETRO調査レポート、現地のエコシステムは国際的にも評価されています。
また、JETROはIITハイデラバードと連携して「Japan Career Day」を開催し、日本企業と現地人材のマッチング支援を行うなど【Telangana Today】、実務面でのサポートも積極的です。

 3. ハイデラバードを選ぶべき5つのビジネス的理由

3.1 世界的IT企業が集積するインド有数のテクノロジー都市

ハイデラバードは「HITEC City」と呼ばれる大規模ITパークを中心に、世界的なIT企業が集積する都市です。マイクロソフト、グーグル、アマゾン、アクセンチュア、デロイトなどが研究開発拠点を設置しており、現地エンジニアとグローバル人材が協働しています。
さらに特徴的なのは、大手とスタートアップが同じエコシステム内で活動している点です。大企業が持つ豊富な資金や顧客基盤と、スタートアップが持つ新しい技術・発想が融合し、次世代のサービスやプロダクトが次々と生まれています。こうした産官学連携+スタートアップ連携の環境は、他都市にはない魅力です。

3.2 州政府のビジネス支援・IT政策が充実

テランガナ州政府は、外資系企業誘致に非常に積極的です。行政手続きの簡略化やオンライン化、税制上の優遇措置、特定産業向けの特区制度などを設け、ビジネスのスピードを重視しています。
特に有名なのが、スタートアップ支援施設「T-Hub」や女性起業家向けの「WE-Hub」。これらは国内外の投資家や企業から高い評価を受けており、インド版シリコンバレーとしての地位を確立しつつあります。外資企業が安心して事業展開できる行政サポートの厚さは、進出判断において大きな安心材料となります。

3.3 高度な英語人材・エンジニア人材の確保が容易

ハイデラバードは、インドでも特に質の高い人材を確保できる都市です。IIT Hyderabad、IIIT-H、ハイデラバード大学といった名門校が集まっており、AI・機械学習・IoT・バイオテクノロジーなど先端分野に強い人材が豊富です。
また、英語がビジネス言語として広く使われているため、日本企業にとってはコミュニケーション面での障壁が少なく、即戦力人材を現地で採用できる点が大きなメリットです。これにより、コストを抑えながらも、日本本社と同等レベルの開発や運営を実現しやすくなります。

3.4 他都市よりも生活コストが安く、駐在環境も整っている

バンガロールやムンバイと比べると、ハイデラバードは生活コストや不動産賃料が抑えられています。これは企業にとっては駐在員の派遣コスト削減につながり、従業員にとっては生活の質を高める要因となります。
さらに、近年は日本食レストランや輸入食材店、日本語対応の医療機関、インターナショナルスクールが増加し、日本人駐在員やその家族にとって安心して暮らせる環境が整いつつあります。ビジネスと生活の両面でバランスが取れている点が、長期的な進出拠点としての魅力です。

3.5 スタートアップやイノベーションの中心としての成長性

ハイデラバードはインド国内で最もスタートアップが盛んな都市のひとつです。T-Hubを中心に毎年多くの新規企業が誕生し、資金調達や海外展開を成功させています。
特徴的なのは、大学・研究機関と企業が密接に連携し、研究成果をすぐに社会実装できる点です。AI・ロボティクス・バイオ分野など、未来産業の実証実験の場としても注目を浴びています。日本企業にとっても、新技術を現地で試す「実験都市」として活用することが可能です。

4. 他都市と比べてなぜハイデラバードなのか?

4.1 デリーとの比較:行政中枢 vs 技術集積地

デリーはインドの首都であり、官公庁や中央省庁との連携を重視する企業には有利な立地です。政策や規制関連のビジネス展開には適していますが、民間ビジネスにおけるスピード感や人材獲得力では限界があります。
一方、ハイデラバードはIT企業や研究機関が集中しており、技術系ビジネスやイノベーション創出に強みを持っています。官庁との連携を重視しない業種であれば、進出メリットはハイデラバードの方が大きいでしょう。

4.2 ムンバイとの比較:金融・商業 vs 技術・人材

ムンバイはインド経済の中心であり、金融・商業分野に強みを持つ一方、地価や人件費が非常に高く、オフィス設立や人材確保にコストがかかります。
ハイデラバードは、金融ハブではないものの、R&DやBPO拠点としての運営コストが圧倒的に有利です。特にITや製造分野で現地人材を活用したい企業にとっては、コストパフォーマンスの高さが魅力です。

4.3 バンガロールとの比較:「第1IT都市」 vs 「次世代IT都市」

バンガロールは「インドのシリコンバレー」として世界的に知られていますが、人口過密や交通渋滞、不動産価格の高騰といった課題が顕著になっています。
対してハイデラバードは計画的に都市開発が進められており、インフラ整備も比較的整った状態です。結果として、「次世代IT都市」としての余力と成長余地が大きく、今後10年の展望を考えるとバンガロール以上に魅力的な拠点になる可能性があります。

5. ハイデラバード進出に向いている企業

5.1 IT・ソフトウェア企業:開発拠点・オフショア開発に最適

ハイデラバードはIT企業にとって理想的な立地です。優秀な人材が豊富で英語も通じるため、日本本社と連携したソフトウェア開発やオフショア拠点を設立しやすい環境があります。
人件費は他都市に比べて抑えられる一方で、技術力は国際的に通用する水準にあるため、日本国内の人材不足解消やDX推進にも直結します。

5.2 スタートアップ・VC:成長エコシステムの中心に身を置ける

ハイデラバードはインド国内で最も成長著しいスタートアップ都市のひとつです。T-HubやWE-Hubなどの支援施設、アクセラレータープログラムが整備され、資金調達・人材獲得・市場開拓がスムーズに行えます。
海外投資家の注目度も高く、日本発スタートアップが現地に拠点を持つことで、グローバル市場に直結した事業展開が可能になります。

5.3 教育・研究連携型企業:大学・研究機関との共同開発に有利

IIT HyderabadやIIIT-H、CCMB(国立細胞科学センター)などの研究機関が近郊にあり、AI・バイオ・ロボティクス分野での共同研究や実証実験に最適です。
研究開発型の企業は、現地の大学と連携することで高度専門人材の採用と育成が可能になり、自社技術をインド市場に適応させながら拡大していけます。

5.4 生活サービス・日系支援事業者:日本人駐在ニーズに対応

近年、日本企業の進出が増え始めていることから、駐在員やその家族を対象としたサービス需要が高まっています。日本食レストラン、日本語対応の医療機関、日本語教育の学習塾や学校など、生活インフラの整備が進行中です。
また、現地社員に向けた日本語教育や文化研修といったソフトサービス領域も拡大余地が大きく、今後進出が期待される分野です。

6. 進出にあたっての留意点

ハイデラバードはインド国内でも進出に適した都市の一つですが、他の都市と同様に「現地特有の課題」に備えておく必要があります。以下では、実際に進出を検討する際に押さえておきたい注意点と準備事項を整理します。

6.1 言語・文化の違いへの配慮

テランガナ州の公用語はテルグ語であり、ビジネスでは英語が広く通じますが、現地スタッフや取引先との細かいコミュニケーションにはローカル言語の理解が役立ちます。
文化的にも、北インドや西インドと異なる慣習があるため、多様性を理解したマネジメント研修やクロスカルチャー教育を導入することが成功の鍵になります。

6.2 インフラ・都市機能の地域差

都市中心部のITパークやビジネス街はインフラが整備されていますが、郊外や一部エリアでは電力供給が不安定だったり、交通渋滞が発生することもあります。
事務所や工場を構える場合は、候補地ごとの電力・通信環境、物流アクセスの確認が欠かせません。BCP(事業継続計画)の観点からも、代替電源や通信バックアップを検討しておくことが望まれます。

6.3 法務・税務・労務制度への対応

インドの法制度は複雑で頻繁に改正が行われるため、現地弁護士や会計士との連携が必須です。
特に労務面では、雇用契約や退職手続き、社会保障制度など、日本とは大きく異なる規定が多く存在します。専門家とパートナーを組み、法務・税務・労務の最新情報を常に把握できる体制を整えましょう。

6.4 政府・自治体との関係構築

テランガナ州政府は外資誘致に積極的である一方、行政機関や自治体との関係構築は進出後の運営に直結します。
JETROや商工会、現地の産業団体を通じて信頼できるネットワークを築くことが、進出をスムーズに進めるうえで欠かせません。

6.5 社員・家族の生活サポート

駐在員の安心は事業の安定につながります。住宅、医療、教育といった生活基盤が整っているかを事前に確認し、日本語対応可能な病院やインターナショナルスクールの情報を社内で共有しておくと安心です。
また、現地採用社員への研修やキャリア形成の仕組みを設けることで、人材の定着率向上にもつながります。

7. まとめ:次世代のインド進出拠点、ハイデラバードは有望な選択肢

ハイデラバードは今まさに成長の波に乗る次世代IT都市です。
優秀な人材、整備されたインフラ、コストパフォーマンス、そして将来性を兼ね備えた都市はインドでも限られています。

JETROの調査・人材支援活動も後押ししており、日本企業にとって信頼性と安心感のある進出先として注目度は高まる一方です。

早期に拠点を構えることで競合に先駆けたポジションを築けるのは「今このタイミング」。
株式会社インドは、市場調査・戦略立案・現地法人設立・マーケティング・法務労務・会計税務までトータルにサポートします。
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参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
現地法人設立サービス https://indo1985.com/incorporation
営業代行サービス https://indo1985.com/sales-outsourcing

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