「デリーで会社を設立したい」人が最初に読むべきガイド【2025年版】

May 23, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

近年、インドへの進出を検討する日本企業が急増しています。インドは世界最大級の人口と若年層比率を誇り、今後の消費市場としても大きな期待が寄せられています。中でも「デリー」は、北インド市場の中心地として高い注目を集めています。

「なぜムンバイではなくデリーなのか?」
「実際に法人設立にはどんな手続きが必要なのか?」

こうした疑問を持つ方に向けて、本記事では、デリーで現地法人を設立するためのポイントを徹底的に解説します。

*その他の地域も検討したい場合はこちらの記事もおすすめです
▶️インド進出におすすめの主要都市5選|業種別・目的別に徹底比較

1. デリーのビジネス環境と進出メリット

デリーは、インドの首都であり、政治・行政の中心であると同時に、巨大な経済圏を形成しています。

隣接するグルガオン(ハリヤナ州)やノイダ(ウッタル・プラデーシュ州)とともに「NCR(National Capital Region)」を構成しており、製造業・IT業・サービス業など多様な産業が集積しています。

1.1 日本企業の進出も活発
デリーおよびその周辺地域(NCR)には、すでに多くの日系企業が進出しています。

特にグルガオンやノイダなどの近郊都市には、自動車、IT、建設、商社、金融など幅広い業種が集積しています。スズキ、トヨタ、NTTデータ、味の素、丸紅といった大手企業が現地法人を設立し、販売・製造・研究開発・サービス提供などを展開しています。

このように、日系企業がすでに強固なビジネス基盤を築いていることは、後発企業にとっても信頼できる進出先としての安心材料になります。

1.2 インフラ整備と都市機能
メトロ網、高速道路、国際空港(インディラ・ガンディー国際空港)など交通インフラが整備されており、ビジネス都市としての利便性も高いのが特徴です。

1.3 教育・人材供給の充実と国際対応力
NCRには、インド工科大学(IITデリー)やインド経営大学院(IIM)など、世界的にも評価の高い高等教育機関が集まっており、工学・IT・経営分野における優秀な人材を豊富に輩出しています。多くの卒業生が英語に堪能で、多国籍企業での勤務経験を有しており、日本企業にとっても即戦力となりうる人材を現地採用しやすい環境が整っています。

また、デリーやグルガオンでは、外資系企業の進出に伴い、国際的なビジネス慣習や多文化対応に慣れた人材が増加傾向にあり、マネジメントや営業、カスタマーサポートといった多様な職種での活用が可能です。

2. デリーの気候・生活環境・治安の実態

現地法人設立を検討する上で、駐在員やその家族が安心して生活できるかどうかも重要です。ここではデリーの生活面について紹介します。

2.1 気候
デリーは大陸性気候に属し、以下のように季節が分かれます。

夏季(4〜6月):気温が40度を超える日もあり、酷暑。エアコン必須。
雨季(7〜9月):モンスーンの影響で湿度が高くなる。
冬季(12〜2月):10度以下まで下がることもあり、朝晩はかなり冷える。
春・秋(3月・10月):比較的過ごしやすい。


2.2 住宅事情
駐在員向けの高級住宅地としては「ヴァサント・クンジ」「ディフェンス・コロニー」「グルガオンのゲーテッドコミュニティ」などが挙げられます。

セキュリティの高い物件が多く、ショッピングモールやインターナショナルスクールも近接しています。

2.3 教育・医療
日本人学校や欧米系のインターナショナルスクールも充実しており、お子様連れの駐在でも安心です。医療も私立病院中心に高度な医療サービスが整備されており、日本語対応が可能な病院も存在します。

2.4 治安
デリー首都圏では駐在員向けエリアの治安は比較的安定しています。ただし、夜間の単独行動、特に女性の外出には注意が必要です。

3. デリーに進出している日系企業の例

首都デリーには、日本の大手企業が戦略的に拠点を構えています。ここでは、デリー市内にオフィスや現地法人を持ち、実際に事業を展開している日系企業の代表例を紹介します。

3.1 丸紅株式会社:社会インフラと貿易の両軸で首都に展開
デリー支店を拠点に、電力・水処理といった社会インフラ事業に加え、食品や工業資材などの輸出入にも力を入れています。

3.2 オムロンヘルスケア:医療機器の販売と技術支援を現地で強化
家庭用血圧計などの医療機器を軸に、販売やアフターサービスを通じて、インドの医療市場でプレゼンスを確立しています。

3.3 味の素:食文化に対応した製品でインド市場にアプローチ
調味料やアミノ酸製品を中心に、現地の食文化に合わせた展開を進め、パートナー企業との連携にも注力しています。

3.4 伊藤忠商事:多分野での貿易・投資活動を展開
繊維、化学品、機械、消費財など幅広い分野で事業を展開し、政府関連プロジェクトへの関与も視野に入れた活動を行っています。

3.5 NTTデータ:政府・金融向けITサービスを提供
デリー支店を通じて、公共セクターや金融機関に向けたITソリューションを提供し、首都ならではの業務連携を強化しています。

これらの企業は、単なる営業拠点ではなく、政策決定機関へのアクセスや商談の円滑化を図るため、デリーというロケーションを戦略的に選択しています。日本企業にとってデリーは、北インド市場のゲートウェイであると同時に、インド全体への影響力を持つビジネス拠点といえるでしょう。

4. インド現地法人の設立形態とデリーでの選び方

インドで外国企業が設立できる法人形態はいくつかありますが、最も一般的で自由度が高いのが「Private Limited Company(株式会社)」です。

*他にどのような法人形態があるかを知りたい場合は、こちらの記事も参考になります。
▶️現地法人種類まとめ|貴社におすすめの形態とは?

4.1 Private Limited Company の特徴
Private Limited Companyは、インドにおける外資企業の法人設立形態として最も一般的で、自由度と独立性が高いのが特徴です。

外資100%出資が可能で、販売・製造・サービス提供など幅広い事業活動を行えます。現地法人として契約や雇用の主体となるため、信用力も高く、取引先や行政とのやり取りが円滑に進みやすいメリットがあります。

インド企業と同等の法人税が課されるものの、安定した事業展開を目指す企業にとっては最も適した選択肢です。登記や法的手続きは煩雑ですが、長期運用には有利です。

4.2 他の選択肢との比較(支店・駐在員事務所など)
>4.2.1 支店(Branch Office)
支店は、インド国内での営業活動が認められているため、商品の販売やサービス提供が可能です。ただし設立にはインド準備銀行(RBI)の事前承認が必要で、製造や加工といった活動は制限される場合があります。

収益は本社に送金できますが、再投資には制約があるため、長期的な事業拡大にはやや不向きです。

独立した法人格を持たないため、税務や会計上は本社との一体管理が求められますが、撤退時の手続きは現地法人よりも比較的容易とされています。

>4.2.2 駐在員事務所(Liaison Office)
駐在員事務所は、インド市場の調査や親会社との連絡業務、展示会・見本市での広報活動など、限定的な用途に活用される拠点です。

営業活動や契約の締結は認められておらず、収益活動も禁止されています。設立にはインド準備銀行(RBI)の承認が必要ですが、運営コストは比較的抑えられ、進出初期の情報収集や関係構築には有効な手段です。

なお、活動範囲が明確に定められており、逸脱した場合は罰則の対象となることもあるため、運用には慎重さが求められます。

4.3 デリーでの最適な選択
B2B取引、製造業、サービス提供などを想定しているなら、Private Limited Companyが第一選択肢です。輸入販売拠点や工場設立を検討している場合にも適しています。

5. デリーでの現地法人設立ステップ【実務ガイド】


現地法人(Private Limited Company)をデリーに設立する場合、以下のような手順を踏むのが一般的です。

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日本国内での公証・アポスティーユ対応も含まれるため、現地支援パートナーの活用が推奨されます。

インド法人設立のステップや期間について知りたければ、以下の記事もおすすめです。
▶️インド現地法人の設立にかかる期間は?ステップ別の目安とスムーズに進めるコツ

*公印確認・アポスティーユとは(外務省)https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000548.html

6. デリー特有の法規制・税制・労務面の注意点

デリーでの事業展開においては、州独自の法規制や手続き上の特性に注意が必要です。ここでは、デリー特有の労務・税務・法務面に関する留意点を紹介します。

6.1 デリー州法の適用と登録義務
デリーで事業を開始する際には、「Delhi Shops and Establishments Act」などの州法に基づく登録が必要です。就業規則や雇用契約書の明示義務があるほか、労働時間・休日・従業員管理についても細かい規制があります。事業開始後は速やかな登録と法令遵守が求められます。

6.2 税務手続と制度の運用
法人税やGST(物品・サービス税)はインド全国共通の制度ですが、実務上の運用には州ごとの差異が見られます。デリーでは地方自治体への営業許可取得や納税登録の手続きが必要で、タイムラインや要求書類にも地域特有の対応が求められるケースがあります。

6.3 労務管理と解雇リスク
デリーでは労働法の運用が厳格であり、特に労働者保護の観点から解雇や給与変更には慎重な対応が必要です。

ホワイトカラーであっても「ワークマン」と認定される可能性があり、就業規則や雇用契約に明文化されていない対応はトラブルの原因となるため注意が必要です。

まとめ:デリーでの法人設立は「現地理解×正確な手続き」がカギ


デリーはインフラや行政対応の面で非常に整っており、北インド市場をカバーする拠点として最適です。一方で、法規制や税務面ではインド特有の手続きが多く、現地の信頼できる専門家との連携が成功の鍵となります。

私たち株式会社インドは、日本企業の皆様のインド進出という名の壮大な冒険を、情熱と専門知識を持ってサポートするプロフェッショナル集団です。

インド市場に関する深い知識と、豊富な経験に基づき、お客様のビジネスの成功に不可欠な情報と、魔法のようなソリューションを提供します。

私たちの現地法人設立サービスは、お客様一人ひとりの個別のニーズに合わせて、まるでオーダーメイドの冒険プランのようにカスタマイズされます。市場調査、競合分析、参入戦略立案、ビジネスパートナー探し、法務・労務に関するアドバイスなど、インドビジネスに関するあらゆるご要望にお応えします。

株式会社インドは、お客様のインドビジネスという名の航海における、最高のパートナーとなることを目指しています。

参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
現地法人設立サービス https://indo1985.com/incorporation
営業代行サービス https://indo1985.com/sales-outsourcing

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