ムンバイで現地法人を設立するには?インド進出を検討中の企業が知るべきポイント
インド市場への進出を検討する企業にとって、設立拠点として注目を集めているのが「ムンバイ」です。
グローバル企業や金融機関が集積し、インフラ整備も進むこの都市は、日系企業にとっても大きな可能性を秘めています。
この記事では、知っておくべきムンバイの特徴や法人形態、設立の流れ、そして進出事例までを網羅的にご紹介します。
デリーへの進出もお考えの方はぜひ『「デリーで会社を設立したい」人が最初に読むべきガイド【2025年版】』 もお役立てください。
1. なぜ「ムンバイ」で現地法人設立を検討すべきか?
インドは現在、世界で最も注目される成長市場の一つです。人口は14億人を超え、若年層比率も高く、将来的な消費市場として大きな潜在力を持っています。さらに、GDP成長率も6〜7%台を維持しており、製造業、IT、インフラ、金融といった多くの分野で海外企業の投資が加速しています。
その中でもムンバイは、「インドの経済首都」とも称されるほどの存在感を誇っています。
インド準備銀行(RBI)や証券取引所(BSE)、大手民間銀行、保険会社などが集中し、金融・ビジネスの中心地として発展してきました。海外からの投資や商取引の多くがムンバイ経由で動いていると言っても過言ではありません。
日系企業にとっても、インド初の拠点設立をムンバイで行うケースは少なくありません。特に商社、金融、物流、IT関連企業にとっては、現地のビジネスネットワークや専門人材を確保しやすい環境が整っている点が魅力です。
2. ムンバイのビジネス環境とは?〜他都市との違いから見る魅力〜
インドには多くの都市が存在しますが、ムンバイには他都市にはない独自の強みがあります。
2.1 国際的な金融都市
ムンバイにはインド最大級の金融機関が集中しています。これにより、商取引や資金調達が円滑に行える環境が整っており、外資系企業が法人設立後に金融業務をスムーズに立ち上げやすいという利点があります。
2.2 ロジスティクスの要衝
ムンバイ港(Nhava Sheva港)はインド最大のコンテナ港であり、海外との物流拠点として機能しています。製造業や貿易関連の企業にとって、物流面での優位性は極めて大きなメリットです。
2.3 高度人材と教育機関
ムンバイには有名な経営大学院(IIM Mumbai)や技術系大学が集まっており、英語に堪能な優秀な人材を確保しやすい環境にあります。特に管理職クラスの採用においては、ムンバイは他都市と比較して優位です。
2.4 他都市との比較

都市選定の際には、自社の業種や進出目的に合わせて検討することが重要です。
3. ムンバイの気候と生活環境:進出後の暮らしやすさをチェック
法人設立の可否を判断する上では、ビジネス環境だけでなく、実際に現地で働く駐在員や日本人スタッフの「暮らしやすさ」も重要な要素です。ここでは、ムンバイの気候・治安・生活インフラ・日本人コミュニティについてご紹介します。
3.1 ムンバイの気候:高温多湿、雨季あり
ムンバイはアラビア海沿岸に位置し、熱帯モンスーン気候に属します。一年を通して気温は高く、平均気温は25〜32度程度です。
雨季(6月〜9月)はモンスーンの影響で非常に降雨量が多く、時に都市機能が一部マヒすることもあります。一方、乾季(10月〜5月)は晴れの日が多く、比較的過ごしやすい時期です。
3.2 生活インフラ:都市部なら問題なし
ムンバイはインドで最も整備された都市の一つであり、電気・水道・インターネットといった基本的インフラは都市部であれば安定しています。
日系企業が多く進出する地域には、外国人向けの高級住宅やサービスアパートメントも豊富にあり、安心して暮らせる環境が整っています。
3.3 日本人駐在員向けの生活環境も充実
ムンバイには日本人学校や日本語対応可能な病院・医療機関もあり、駐在員家族の受け入れにも適した環境です。日本食材を扱うスーパーや、日本食レストラン(寿司・ラーメン・カレーなど)も点在しており、食生活で困ることも少なくなってきました。
2023年時点での在ムンバイ日本人会の登録者数は約1,000名を超えており、定期的な交流会やイベントも開催されています。
3.4 治安:都市部は比較的良好、ただし注意も必要
ムンバイの治安は、インドの中では比較的安定しています。特に外国人が多く住む高級住宅街やビジネスエリアでは、警備体制も強化されています。
ただし、スリや詐欺、交通トラブルなどには注意が必要です。夜間の外出や一人歩きは避けるなど、基本的な安全対策は欠かせません。
4. ムンバイで設立できる法人形態の種類
インドでの進出方法には複数の形態があります。ムンバイでの法人設立を考える際、以下の形態が主に検討対象となります。
4.1 Private Limited Company(現地法人)
もっともスタンダードな形態で、多くの日系企業がこの方式を選んでいます。インド企業と同等の事業活動が可能であり、外資規制の範囲内で幅広いビジネス展開ができます。
4.2 Liaison Office(駐在員事務所)
商取引や収益活動はできませんが、本社との連絡や市場調査の拠点として適しています。将来的な法人化を見据えた初期進出に有効です。
4.3 Branch Office(支店)
商品販売や技術サポートが可能で、現地法人よりは簡易な設立手続きで済みます。ただし、活動範囲が限定されるため、進出目的によって選択の可否を検討する必要があります。
もっと詳しく、現地法人設立と駐在事務所について知りたい方は『「インド現地法人設立」と「駐在員事務所」どちらが最適?目的別に比較解説|日系企業向け進出ガイド』もご覧ください。
5. ムンバイでの現地法人設立ステップ【実務ガイド】
現地法人(Private Limited Company)をムンバイに設立する場合、以下のような手順を踏むのが一般的です。日本国内での公証・アポスティーユ対応も含まれるため、現地支援パートナーの活用が推奨されます。

詳細に法人設立のプロセスを知りたい方は「インド現地法人の設立にかかる期間は?ステップ別の目安とスムーズに進めるコツ」も参考にしてください。
6. ムンバイ進出事例:日系企業はどう展開している?
インドにおける日系企業の拠点設置都市として、ムンバイは非常に人気が高い地域です。JETROのデータによれば、マハーラーシュトラ州(ムンバイを含む)には2023年時点で300社以上の日系企業が進出しており、これはデリー首都圏に次ぐ規模となっています。ここでは、業種別に日系企業のムンバイ進出事例を紹介し、各社がどのような戦略で現地法人を設立・運営しているかを見ていきます。
6.1 製造業:サプライチェーンのハブとして活用
ムンバイはインド最大の港を擁し、近郊には工業団地が多数立地しています。この地理的利点を活かし、多くの製造業が部品供給拠点やアセンブリ拠点としてムンバイ近郊に進出しています。
自動車部品メーカーB社は、顧客である日系完成車メーカーがマハーラーシュトラ州に拠点を構えていることから、ジャワール工業団地に現地法人を設立。
日本からの部品輸入、現地調達、アッセンブリ、最終納入までをムンバイ港経由で完結させ、コスト削減と納期短縮に成功しています。
また、電機メーカーD社は、西インド市場向けの倉庫兼ショールームをムンバイに設け、インド西部と南部の販売網を効率的にカバーしています。
6.2 商社・貿易業:物流拠点としての優位性
インドとの貿易を重視する日系商社にとって、ムンバイは輸出入のゲートウェイとして不可欠な存在です。
商社A社は、インドとの鉄鋼・化学品取引を拡大するため、早期からムンバイに拠点を置いています。特に、Nhava Sheva港を通じた通関手続きや国内配送に精通した現地スタッフの雇用により、スムーズな取引体制を確立しました。
また、インド企業との合弁事業やパートナーシップ構築にも成功しており、現地法人を通じた直接投資や新規事業も進行中です。
6.3 IT・BPO・テック企業:インド人材の活用と営業網拡大
IT分野では、バンガロールが開発拠点の中心となっている一方で、営業や顧客対応拠点としてムンバイを活用する動きも加速しています。
IT企業C社は、バンガロールでの開発拠点に加えて、ムンバイに営業・マーケティング部門を置き、製造業や金融業などムンバイに本社を置くインド企業を主要顧客としたB2B営業を展開。現地の人材採用にも積極的で、インド国内の人脈と市場理解を生かした提案型営業により、着実に取引を拡大しています。
また、日系BPO企業の一部は、英語対応に優れたムンバイの人材を活用し、日本企業のカスタマーサポートやバックオフィス業務を受託するなど、グローバルアウトソーシングの拠点としても機能しています。
6.4 建設・インフラ・物流業:都市開発ニーズを背景に
ムンバイでは、都市インフラの拡張が急ピッチで進んでいます。メトロ網の建設、空港拡張、高速道路整備、スマートシティ開発などが進行中であり、これに伴って建設業や物流業の進出機会も拡大しています。
総合建設企業E社は、インド国内での大型プラント建設の受注を機に、ムンバイにプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)を設立。日本からの技術支援とインドの施工体制を組み合わせることで、高品質かつコスト競争力のある建設を実現しています。
物流業では、陸海空のアクセス性を評価し、ムンバイをインド全土配送の起点とする企業も多く、Eコマースや医療物流などの分野で地場企業との連携も広がっています。
7. ムンバイ進出企業に共通する成功要因
各社の事例から共通して見えてくる成功要因は以下の通りです。
- 現地パートナーや専門家との協業体制の構築
- 人材採用の柔軟性と現地スタッフの育成
- インド特有の規制・商習慣への理解と対応力
- 拠点の役割分担(営業/製造/物流)の明確化
特に、現地法人設立後の初期段階で、会計・法務・税務などの管理体制を早期に整備した企業ほど、スムーズな拡大フェーズに移行できている傾向があります。
まとめ:ムンバイ進出の判断軸と次のアクション
インドの中でも、ムンバイは金融・商業・物流の中心地として、多くの外資系企業に選ばれています。都市インフラ、専門人材、ビジネスネットワークといった観点からも、現地法人の設立先として非常に魅力的な都市です。
以下のような企業には、ムンバイでの法人設立が特に適しています。
- 金融や貿易を主とする事業
- インド西部・南部との物流を重視する企業
- 管理職レベルの人材を現地採用したい企業
法人形態の選択や設立手続きに不安がある場合は、インド現地に精通したコンサルタントや会計士のサポートを受けることをおすすめします。
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参考URL:
市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
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