岡山の繊維副資材がインドを変える──高付加価値ニッチ市場を狙え

Oct 02, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

はじめに

備中の伝統織物や世界的にも高い評価を得る国産デニムの一大産地として知られる岡山県。

その地で培われてきた「高品質・高耐久」の繊維製品や、「繊細で差別化されたアパレル副資材」は、国内市場のみならず、今や海外の目の肥えたファッションバイヤーたちからも熱視線を浴びています。

中でも近年注目されているのが、インド市場です。

人口14億人を擁し、都市化と中間層の拡大が急速に進むインドでは、アパレル市場が年々拡大。

しかも、単に大量生産・低価格な製品から、高品質・サステナブルなファッションへのシフトが進んでおり、まさに岡山の技術が活きるフェーズを迎えています。

この記事では、そんな岡山の繊維・副資材メーカーがインド市場でどう勝機を見出し、どのように一歩を踏み出せばよいのかをご紹介します。

1. インドのアパレル市場はなぜいま狙い目なのか?

1.1 インド国内のファッション需要が爆発的に拡大中

インドのアパレル市場は、2025年には約900億米ドルを超えると予測されており、世界第6位のファッション市場として存在感を増しています。

背景には、中間層の所得増加、若年人口の多さ、都市化の進展といった構造要因があり、今後10年以上にわたって成長が見込まれています。

また、政府は「Make in India」「PLI(生産連動型インセンティブ)」政策を通じて、アパレル・繊維業を国家戦略産業と位置付けており、海外からの技術導入・原材料調達を積極的に受け入れています。

1.2 日本品質に注目が集まる理由

大量消費から選ばれる製品へと価値観が変化するなかで、日本製の副資材に対する評価も高まっています。

「高品質」「安定供給」「環境対応」といったキーワードは、インドブランドの競争力アップに直結しており、まさに岡山の中小企業が得意とする領域と一致しています。

2. 岡山発の繊維副資材が選ばれる理由──小さなパーツが差別化を生む

2.1 ラベル・タグ・芯地…“見えない品質”に光が当たる

近年、インドのアパレル企業では、ブランド化を目指す企業やD2Cスタートアップが増えており、「ブランドの世界観」を演出するラベルやタグ、副資材の質に対するこだわりが強くなっています。

岡山の副資材メーカーが持つ、繊細で精密な加工技術、少ロットへの柔軟な対応力、そして環境対応素材(再生ポリエステルや天然素材ベース)へのノウハウは、インド市場にとって非常に魅力的な提案になります。

2.2 インドで評価される日本製副資材の特徴
 

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3.  岡山発の繊維副資材企業が狙う販路とターゲット

3.1 狙うべきは中堅アパレルブランドと縫製企業

インドでは、ZARAやH&Mといった外資ブランドのOEM供給元だけでなく、国内アパレルブランドやD2C系ブランドも急増中。

これらのブランドが求めるのは、「他社と差別化できる素材・資材」であり、高品質な副資材の提案に耳を傾ける素地があります。

特にデリームンバイベンガルールなど都市部の縫製工場との提携や、日印合弁で活動する商社系バイヤーを通じた営業が有効です。

3.2 展示会・商談会を活用する

JETROが関与するTextile India(グジャラート)や、インドITME(繊維機械・資材展示会)など、年数回の展示会では現地の縫製業者・アパレル企業との出会いの場になります。

まずは共同ブースでの出展や視察を通じて、相手ニーズと自社技術のマッチングを確かめることが第一歩です。

4. 岡山発の繊維副資材企業が押さえるべき制度と規格

4.1 輸出前に知っておきたい「インド側の求める信頼性」

インド市場に製品を送り出す際、品質の高さやデザイン性だけでは十分ではありません。

現地の商流に乗せるには、「制度と規格」に対応しているかが、取引先の信頼を得る大きな鍵になります。

4.1 BIS認証──一部副資材に求められるインドの国家規格

インドには「BIS(Bureau of Indian Standards)」という国家規格制度が存在し、これは日本で言えばJISに相当します。

繊維・副資材の中でも、合成繊維を含む生地、芯地、染色加工を施した製品など、一部のカテゴリにおいてはBIS認証の取得が義務づけられています。

たとえば、再生ポリエステルを使用した芯材や、難燃性加工を施したタグなどが対象になる可能性があります。

自社の製品がこれに該当するかどうかを判断するには、まず製品のHSコード(関税分類番号)をもとに事前確認することが不可欠です。

もし認証が必要な場合には、インド国内の代理人(Authorized Indian Representative)を通じた申請手続きが必要になります。

4.2 GST登録──信頼ある現地取引に欠かせない税務対応

さらに、インドで取引を継続的に行う場合、GST(Goods and Services Tax)の登録が求められます。

これはインド版の付加価値税であり、日本で言うところの「法人番号+インボイス制度」に近い存在です。

GST番号を取得することで、現地バイヤーとの正式な取引が可能となり、仕入先としての信用度も格段に高まります。

また、インド側パートナーにとっても、GST登録された取引先との商流であれば税務上の控除を受けられるため、選定基準として重視される傾向があります。

登録はインド現地法人または販売代理人を通じて行うのが一般的で、スムーズな取引を望む場合には早期対応が望まれます。

4.3 環境配慮素材への期待──“EPR”と今後の潮流

近年インドでは、環境保護を目的とした制度「EPR(Extended Producer Responsibility=拡大生産者責任)」の整備が進んでいます。

これは主にプラスチック包装材を対象とした制度ですが、今後はアパレル副資材の分野にも波及してくる可能性があります。

特にラベル、タグ、ボタンといった製品がプラスチック素材を含んでいる場合、それらの回収・再資源化責任が輸出企業にも課される流れになると見られています。

こうした潮流を先取りする意味でも、環境対応型素材(再生繊維、植物由来、無漂白など)を使用した製品設計や、製品成分のトレーサビリティ(追跡可能性)の整備が、インド市場での競争力に直結してきます。

欧米輸出を視野に入れる現地ブランドほど、EPR的な観点を重要視する傾向が強まっており、日本からの副資材提案においても“環境認証”や“原料開示”が標準要件になる日も遠くないでしょう。

4.4 「制度対応=信頼構築」こそが岡山企業のブランド力を生む

制度対応というと「煩雑」「面倒」と敬遠されがちですが、実はこうした認証や登録こそが、日本製品の信頼性を裏打ちする武器になります。

インド市場ではまだまだ制度に正しく対応できる企業が少なく、そこにこそ日系・岡山企業の強みを活かす余地があります。

製品の魅力を最大化するためにも、こうした制度面の準備を抜かりなく整え、インドバイヤーに「取引しやすいパートナー」と感じさせることが、長期的な信頼獲得の鍵となります。

5. インド輸出に向けた岡山県繊維副資材企業のアクションプランとは?

インド進出というと、どうしても「大企業の話」「体力が必要」といった先入観を抱かれがちです。

たしかに人口14億人を超える巨大市場に挑むには、入念な準備とリスク管理が求められます。

しかし、今のインド市場は以前とは違います。BtoBビジネスにおける品質重視の風潮や、“使いやすさ”への関心が高まっている今こそ、日本の繊維副資材企業にとってのチャンスが広がっています。

ここでは、「展示会から始める市場感覚の習得」から「テスト輸出」「制度対応」「現地拠点の検討」まで、4ステップで無理なく進められるインド進出モデルをご紹介します。

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ステップ1:視察・展示会参加で“現地の空気”をつかむ

まずは現地市場に足を運び、展示会や商談会に参加することでニーズと動向を肌で感じましょう。

JETROや岡山県産業振興財団のサポートを活用するのも有効です。

ステップ2:テスト提案と小ロット取引で信頼構築

はじめから大量取引を目指すのではなく、ラベルや芯地など少量でも評価されやすい副資材から取引を開始するのがポイントです。

ステップ3:認証・税務対応と配送ルートの整備

GST登録や物流業者の選定、サンプル提供時の梱包工夫など、制度・実務面での整備が必要です。

ステップ4:継続提案と拠点検討で中長期展開へ

パートナー企業の信頼を得たのち、継続提案やOEM提携、必要に応じて駐在員事務所の設置などを検討していきましょう。

まとめ:小さな部材で、大きな市場を動かす──岡山の技術が世界の布を変える

岡山県の繊維・副資材企業が長年培ってきた、丁寧で正確なものづくりと現場対応力は、いま世界で最もダイナミックに変化する市場・インドでこそ、活かされる土壌があります。

たとえ中小企業であっても、小さなラベルや芯地といった副資材でインドのファッション産業を支えることは十分に可能です。

地域の誇りを胸に、一歩ずつ世界市場への歩みを始めてみてはいかがでしょうか。

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参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
現地法人設立サービス https://indo1985.com/incorporation
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