【インド法人設立豆知識】定款内容の変更について
インド進出を検討している日本企業の皆様、こんにちは!
今回は「インド法人設立における定款内容の変更」についてご説明します。
登記申請前に企業名、住所、株主、取締役、資本額などを決定した上で登記申請と完了を行います。しかしながら、何らかの理由で変更が必要なこともでてくるでしょう。本記事では、当該変更事項が生じた際の対応方法を共有いたします。
では、詳しく見ていきましょう。
インドにおける定款変更の手続き
法人設立における登記申請完了後、定款の内容変更が生じることもあるでしょう。その場合、正しい変更申請プロセスを行う必要があります。
定款変更対象となる主な内容
1. 基本的事項の変更
会社名の変更(商号条項)
登記住所の変更(住所条項)
事業目的の追加・修正(目的条項)
資本金の増減(資本条項)
2. 組織運営関連
取締役会の構成や権限変更
株主総会の招集方法や決議要件の見直し
株式種類や譲渡制限の追加
3. 構造的な変更
州を跨ぐ登記住所の移転(NCLT承認必須)
合併・分割・清算手続き
資本削減(NCLT承認必須)
上述のような事象が発生した場合、直ちに下記の基本プロセスを進めます。
定款変更の基本プロセス
株主総会の特別決議
定款(MOA/AOA)変更には、株主総会で特別決議が必要です。インドでは以下の条件を満たす必要があります。
・出席株主の反対票が賛成票の1/3を下回ること
・議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の3/4以上が賛成
インド企業省(MCA)への申請
特別決議後30日以内にForm MGT-14を提出します。通常1週間程度で承認が下ります。提出書類には以下が含まれます。
・特別決議書
・改訂版の定款(MOA/AOA)
NCLT(National Company Law Tribunal)の関与が必要なケース
先述した定款変更のシチュエーションにおいて、NCLTへの申請が必要なケースがあります。
NCLTとは
インドの NCLT(National Company Law Tribunal:国家会社法審判所) は、企業に関連する法律問題を審理・判断するための専門的な司法機関です。
以下のような大規模な変更の場合、NCLTの承認が必要となります。
登記住所の州間移転:本店所在地を他州に移す場合
資本削減:株式資本を減少させる場合
組織再編:合併・分割・清算手続き
この場合、Regional Directorや所得税局などの承認も併せて取得する必要があります。
NCLTの主な役割と権限
●会社の合併・買収(M&A)の承認
スキーム・オブ・アレンジメント(合併・合意内容の認可)を審査・承認します。
●会社清算(破産・倒産)の審理
企業の清算手続きや倒産関連案件を処理します(IBC法に関連)。
清算手続きの開始・監督などを行います。
●取締役の不正行為に対する審理
取締役やマネジメントによる不正行為に関する申し立てを受理・判断。
●株主の申立て・権利保護
少数株主の利益保護、会社経営に対する不当な行為の訴えを処理。
●オプレッション(不当行為)・ミス・マネジメント(経営ミス)
株主やステークホルダーからの訴えに対する審理。
●公的機関との紛争調停
登録局(ROC)やその他政府機関との会社関連のトラブルもNCLTの管轄。
申請方法として、書類作成、添付書類の準備に始まり、その後電子申請の手続きとなります。申請から受理までに時間を要することもままあります。(申請内容により差異がありますが、最低でも1ヶ月から一年以上かかるケースがあります)また、申請に伴う費用も発生するためできるだけNCLTへの申請が発生しないよう、初期段階での決め事の確定を慎重に行う必要があります。
注意点
定款変更後は、PAN/TAN(税務登録)や契約書類の名義更新も必須です。
変更内容によっては中央政府へForm INC-24での届出が必要(例:商号変更)。
手続き期間は通常1-2ヶ月ですが、NCLT関与案件ではさらに期間を要します。
NCLTを必要とするか否かは変更内容によって異なるため、専門家との事前確認が推奨されます。特に州間移転や資本構成の変更(資本金の増減)を伴う場合は、早期に法務デューデリジェンスを実施しましょう。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう!
*免責事項*
このブログは一般的な情報提供を目的としており、法的アドバイスではありません。具体的な法的事項については、専門家にご相談ください。
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