【インド法人設立豆知識】株の保有率について
インド進出を検討している日本企業の皆様、こんにちは!
今回は「インド法人設立における株の配分」についてご説明します。
1.株主数と保有率の基本
インドで非公開会社(Private Company)を設立する場合、最低2名の株主が必要です。
多くの日系企業では、親会社とその関連会社、または親会社と個人取締役などで、100%の株式を保有するケースが一般的です。
2.保有率に関する注意点
株式の保有率は、インド法人の運営や将来の事業展開に直接影響します。特に外国企業が関わる場合、法制度や投資規制によって思わぬ制限や義務が生じることがあります。ここでは、インド法人設立時に必ず押さえておくべき株式保有率に関する注意点を整理します。
2-1みなし公開会社の回避
外国企業が100%出資の子会社を設立する場合は問題ありません。
しかし、日本企業が51%、インド企業が49%を保有する場合などは、「みなし公開会社」とみなされ、コンプライアンス面で公開会社と同等の扱いを受けます。
2-2 外国直接投資規制
インド非居住者(外国企業)とインド居住者(インド企業)との間で株式を譲渡する際には、価格規制が適用されます。これはインド企業の利益保護を目的としています。
2-3 議決権と経営権
株式の保有比率は、取締役会構成や議決権に直結します。
特にジョイントベンチャーの場合、持株比率に応じて経営陣の構成や意思決定権限が決まります。
2-4 少数株主の保護
インド会社法では、10%以上の株式を保有する株主に、臨時株主総会の招集請求権などが認められています。
2-5 株式譲渡の制限
非公開会社では、定款に株式譲渡制限規定を設けることが必須です。これにより、既存株主の同意なく第三者へ株式を譲渡できません。
3 親会社が子会社の株式を多く保有する際の懸念事項
親会社が子会社の株式を過半数以上保有することは、経営権の安定や意思決定の迅速化といったメリットをもたらす一方で、利益相反やガバナンス低下などのリスクも抱えます。特に上場企業同士の親子関係では、少数株主の権利保護や経営の透明性確保が重要な課題となります。ここでは、親会社が多数株を保有する場合に注意すべきポイントを解説します。
3-1 利益相反
- 親会社の利益が優先され、少数株主の利益が損なわれる可能性
- 子会社への不利な契約条件設定
- 高配当要求による子会社の成長資金不足
過半数の株式を持つ親会社は、意思決定に強い影響力を持つため、少数株主の利益や子会社の長期的成長よりも短期的な親会社の利益を優先させてしまうリスクがあります。このため、契約条件や配当方針の透明性確保が不可欠です。
3-2 ガバナンス上の課題
- 役員兼任による独立性の欠如
- 親会社の意向に左右される経営
- 少数株主の意見が反映されにくい
親会社主導の人事や意思決定は、子会社の独立性や公正な経営判断を阻害します。少数株主の意見が経営に届きにくくなることで、ガバナンスの健全性や透明性が低下し、企業全体の信頼性にも影響を及ぼします。
3-3 経営効率の低下
- 意思決定の遅延(親子両方で承認が必要)
- 上場維持コストの二重負担
- 資金配分の非効率化
親子間での二重承認や管理コストの増加は、意思決定スピードの低下と経営資源の浪費につながります。さらに、子会社の利益が親会社や少数株主に分配されることで、グループ全体での効率的な資金活用が難しくなる恐れがあります。
こうした背景から、近年は親子上場の解消やガバナンス強化の動きが加速しています。
まとめ
インドで法人を設立する際の株式分配は、単なる数字の問題ではありません。法的な影響、経営権、将来の事業展開など、多角的な視点で検討する必要があります。特に外国企業とインド企業のジョイントベンチャーの場合は、慎重に株式分配を決定することが重要です。
専門家のアドバイスを受けながら、長期的な視点で株式分配を決定することをお勧めします。
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