【インド法人設立豆知識】登記完了後の手続きについて

インド進出を検討している日本企業の皆様、こんにちは！
今回は「インド法人設立における登記完了後の手続き」についてご説明します。

インドでの法人登記完了後、日本同様様々な手続きを行います。
その手続きを終えて、事業開始が正式に認められることになるため、オンタイムで確実に完了させましょう。

手続きの期日は厳守する

インド法人の設立登記が完了した後、事業を開始するためにはいくつかの重要な手続きを段階的に進める必要があります。以下に具体的なステップをまとめます。

★やること一覧

*CAとは：チャータードオフィスの略称。法人設立や会計などを任せる士業のことを指します。*会計士

1. 第一回取締役会の開催

期限: 登記完了後30日以内までに
何を: 取締役会を開催
具体的に: 会議で「銀行口座の開設、初代法定監査人の選任、資本金送金の承認、設立費用の処理」などを決定し、取締役会議事録を作成する。
誰が: 設立会社の取締役（取締役会の実施）、CA（議事録の作成）

補足：法定監査人は、インド会計士協会（ICAI: Institute of Chartered Accountants of India）の会員である必要がある。多くの場合、外部委託する先の会計士、税理士を選任。独立性を担保する必要があるため、自社の取締役や従業員を監査人とすることはできない。

2. 銀行口座の開設

期限: 登記完了後即着手する
何を: 口座開設の手続きを行う
具体的に: 取引銀行を決める。銀行担当へ連絡する。口座開設に必要な書類準備をする。

「準備する書類」
・設立証明書（Certificate of Incorporation）
・基本定款（Memorandum of Association）および附属定款（Articles of Association）
・PAN（Permanent Account Number）
・第一回取締役会議事録（1.で作成した書類）
・取締役の本人確認書類
誰が: 企業の担当、あるいは取締役もしくはCAによる手続き対応
補足：選定する銀行について、日本で利用している銀行がインドにも拠点を持つ場合は、その銀行を選ぶと手続きがスムーズ。銀行によって要求される書類が異なるため、事前確認が重要。
全ての取締役の署名が必要な書類準備、取締役の本人確認書類準備が必要。そのため、日本に取締役がいる場合、EMSなどで書類の郵送が発生する。

3. 資本金の送金

期限: 資本金着金後30日以内にインド準備銀行（RBI）へ報告。
何を: 株主それぞれが資本金を送金。
具体的に:開設した銀行口座に資本金を送金。着金後、銀行より以下の書類を受け取る。
・外国国内仕向送金証明書（FIRC: Foreign Inward Remittance Certificate）
・KYC（Know Your Customer）
誰が: 全株主
補足：設定する資本金額通りの着金となるよう対応。通貨はインドルピーが好ましい。（対応不可の場合、日本円で送金する）設定金額の過不足が発生しないよう送金手続きを行う。

4. 税務番号（PAN/TAN）の確認/許認可などの申請

概要:PAN（法人税番号）とTAN（源泉徴収番号）は通常、登記時に自動発行される。
発行されていない場合は、税務当局に申請が必要。
用途:税務申告や従業員給与支払い時に使用。

概要: 貿易業務を行う場合は取得必須。
申請先: DGFT（Directorate General of Foreign Trade）。
必要書類:PANカード、銀行口座詳細、設立証明書など。

5. Shops & Establishments登録

期限: 事業開始後30日以内に登録申請を行う。
何を: 企業あるいはCAが書類作成し申請
具体的に: 各州政府の労働局へShops & Establishments Actの申請を完了する

「準備する書類」
・設立証明書（Certificate of Incorporation）
・PAN（Permanent Account Number）
・所在地証明（賃貸契約書や光熱費請求書など）
・従業員情報（人数や雇用契約書など）
誰が: 企業あるいはCAが書類作成し申請
補足：Shops & Establishments登録は、インドの各州で適用される労働法に基づき、事業所が従業員の権利を保護し、適切な労働環境を提供することを目的とした登録制度です。この登録は、商業活動を行うすべての事業所に義務付けられています。

6. 株式割当と関連報告

期限:株式割当後30日以内にFCGPR（外国直接投資報告書）を提出。
何を: 取締役会の開催、株式証書の発行。
具体的に:資本金着金後、取締役会を再度開催。株式割当を正式に承認する。
次に、株式証書を発行する。
割当後、30日以内にROCへ株式割当報告書（PAS-3フォーム）を提出。
FCGPR（外国直接投資報告書）をRBIへ提出。
誰が: 企業あるいはCAが書類作成し申請
補足: 印紙税納付証明書を添えて電子報告する。

7. INC-20A（事業開始届）の提出

期限: 登記完了後180日以内。
何を: INC-20A*フォームの作成と申請。
具体的に: CAが書類作成、必要提出書類を添付、ROC（会社登記局）へ電子申請する。

「準備する書類」
・株主による株式対価支払いの証明（銀行口座明細など）
・会社設立証明書（Certificate of Incorporation）
・取締役のデジタル署名証明書（DSC）
・取締役識別番号（DIN）
・必要に応じて、登録住所証明書や取締役会議事録
補足: 同フォームは、会社が事業を開始し、株主が株式の対価を支払ったことを宣言するためのもの。会社が事業活動や資金調達（借入）を行う前に、提出が義務付けられている。

8. その他の手続き

必要に応じて以下も進める。
コモンシール（会社印）の作成：必須ではない。会社印の有無は定款に定める。
労働者保険や社会保険関連の登録：加入義務は雇用従業員数20名以上*一部地域除くが目安。
GST登録（物品・サービス税）：加入義務の要件設定あり。

まとめ

インド法人設立後には、法律で定められた期限内に多くの手続きを進める必要があります。特に、銀行口座開設や資本金送金、税務番号取得などは初期段階で重要です。心得ておきたいことは、期日があるものを遅延した場合、罰金や追加料金が課されます。

これらの手続きは専門家や現地コンサルタントと連携することでスムーズに進めることができます。

インド進出に関するお問い合わせはこちらまで！

#インド #インド進出 ＃海外進出  #インド進出支援 #支援会社 #コンサルティング #登記後のいろいろ申請 #登記完了後事業開始のための手続き #登記後は煩雑な手続きがいっぱい

📣その他お勧め記事📣
【インド法人設立豆知識】取締役の要件とは？
【インド法人設立豆知識】法人税について
【インド法人設立豆知識】法人設立の期間について