【インド法人設立豆知識】登記完了後の住所手続きとは

May 22, 2025

インド進出を検討している日本企業の皆様、こんにちは!
今回は「インド法人設立における登記完了後の手続き」についてご説明します。

前回の記事で、登記完了後の手続きについてご案内しました。
全体のプロセスは理解できたと思いますが、一つ一つに煩雑な対応が存在します。今回は、プロセスの一つである「File INC-22」について解説します。

では、詳しく見ていきましょう。

インド法人設立後のプロセスと住所登録(Form INC-22)について

インドで法人(会社)を設立した後、営業開始までに完了しなければならない手続きがいくつかあります。*全体のプロセスはこちらをチェック
その中でも「登記住所(Registered Office)」の登録は、非常に重要なステップです。ここでは、特にForm INC-22(住所登録のための申請書)について詳しく解説します。

◉インド法人設立後の主なプロセス
第一回取締役会の開催(設立後30日以内)
銀行口座の開設・資本金の送金
各種税務・法定登録
登記住所(Registered Office)の登録 ←Form INC-22による住所登録

Form INC-22による住所登録の流れ

1. 登記住所の決定
会社設立時に登記住所が確定していない場合は、設立完了後30日以内に会社登記局(Registrar of Companies, ROC)へ正式な住所を届け出る必要があります。
登記住所は、実際の営業所でなくても問題ありませんが、郵便物の受取や当局の査察対応が現実的に可能な場所を選ぶ必要があります。
賃貸オフィス、サービスオフィス、バーチャルオフィス、会計事務所の住所など、必要書類が揃えばどの住所でも登録可能です。

2. 必要書類の準備
Form INC-22提出時には、以下の書類が必要です。

・公証済み賃貸契約書のコピー
・住所使用許可書(No Objection Certificate, NOC)※オーナーや管理者から取得
・公共料金明細(電気・水道など、住所が記載されているもの)

3. 取締役会の決議
住所登録のためには取締役会を開催し、決議書を作成します。

4. Form INC-22の提出
必要書類を添付し、Form INC-22をROCへオンライン申請します。

住所登録が完了すると、正式な登記住所としてROCに記録されます。

Form INC-22提出時の現地写真撮影と取締役の役割について

Form INC-22の提出には現地オフィスでの写真撮影が必須となっています。ここでは、どのような写真が必要か、取締役がどのように関与するか、その詳細な流れを解説します。

写真撮影に関する要件
Form INC-22の提出には、以下2種類の写真が必須です。

●外観写真(Exterior Photo)
登記住所となる建物の外観を撮影し、会社名・CIN(会社法人番号)・住所・電話番号・メールアドレス・ウェブサイト・GSTIN(該当する場合)が記載された会社名プレート(看板)が明瞭に写っている必要があります。

●内観写真(Interior Photo)
登記住所の室内で、取締役(Director)または主要管理職(KMP)が実際にその場にいる様子を撮影します。通常は取締役が自席に座っている正面写真が求められます。オフィス内の机や備品など、実際に業務が行われていることが分かるように撮影してください。

内観写真には、少なくとも1名の取締役またはKMPが写っている必要があります。

写真撮影の実務ポイント
●現地訪問の必要性
取締役自身が現地に赴き、オフィス内で写真を撮影する必要があります。これは、実際にその場所で業務が行われていることを証明するためです。

●写真のファイル形式
写真はPDF形式で提出する必要があります。JPGやPNGなど他の形式は受理されません。

●写真の品質
会社名プレートの内容や取締役の顔、オフィス内の様子がはっきり分かるように、明るく鮮明な写真を用意してください。

●地図情報
写真自体に緯度・経度の記載が推奨されています。

●アプリのダウンロード
GPS Camera Photo with Location(Android/iOS)を携帯にダウンロード。
「GPS Camera Photo with the location」は、写真に自動的に緯度・経度(Latitude/Longitude)や住所情報を埋め込むことができます。

*使い方*
アプリストアで「GPS Camera Photo with the location」を検索・インストール。
アプリを起動し、カメラへのアクセスと位置情報利用を許可。
設定画面で「Map + Both(Lat/Lng + Address)+ Weather」を選択。
外観・内観写真を撮影(会社名プレートや取締役が写っていることを確認)。
写真に位置情報が自動で表示されるので、そのままPDF化して提出書類に添付します。

Form INC-22のポイントと注意点

提出期限:設立後30日以内に提出しなければなりません。
住所変更:後日、登記住所を変更する場合も、同じくForm INC-22をROCに提出します。州をまたぐ場合は追加手続きが必要になり、時間もかかります。
公共料金明細:最新(通常2か月以内)のものが必要です。
NOC:賃貸物件の場合は必須。オーナーから「登記目的で使用して良い」との書面を取得します。

これらのプロセスを経て、必要な書類を全て整え、期日までに申請を行う必要があります。諸々煩雑なプロセスとなるため、法人設立を依頼する会社へ確認をとりながら進めていくことがベストです。

場合によっては、日本から取締役がインドへ渡航しプロセスを遂行することもあります。適切な方法を選択し、コンプライアンスを遵守しましょう。

*免責事項*
このブログは一般的な情報提供を目的としており、法的アドバイスではありません。具体的な法的事項については、専門家にご相談ください。

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