インド進出で世界市場へ――東京都スタートアップ企業が今こそ挑む理由

Aug 31, 2025By Rie Ohno
Rie Ohno

かつては【遠い新興国】のイメージがあったインド。

しかし今、テクノロジー、医療、教育、エネルギーといった先端分野で、世界のスタートアップがこぞって注目する市場へと変貌しています。

特に人口14億人超の巨大市場と、政府主導のスタートアップ支援策、そして急成長するデジタル経済の存在は、成長を志す東京のスタートアップにとって極めて魅力的な舞台です。

本記事では、インド進出を検討する東京都内のスタートアップ向けに、エコシステム、支援制度、VC動向、現地企業との提携可能性など、現場で使える最新情報を網羅的にご紹介します。

1. インド市場の今 〜 スタートアップに開かれた巨大成長国

1.1 人口・経済成長・デジタル浸透が融合する新興市場

インドは2023年に人口で中国を抜き、世界最大の消費者市場となりました。

経済成長率も7%前後を維持し、世界的な景気減速の中でも力強い伸びを見せています。

さらに政府の「Digital India」政策により、フィンテック・ヘルステック・エドテックなどの分野が急速に拡大。

東京で培ったテクノロジーを、新たなフィールドで試すには絶好の土壌です。

1.2 スタートアップ政策の全体像とインド政府の本気度

インド政府は「Startup India」政策を柱に、法人設立の簡素化、税制優遇、資金支援など多方面で起業支援を実施。

近年では州ごとにインキュベーター制度や外国企業向けの特区も設けられ、外資スタートアップに対する受け入れ態勢が整ってきています。

2. 東京都スタートアップの強み 〜 インドで活かせる技術とサービス

2.1 東京発世界標準のテクノロジーと社会課題解決型モデル

東京のスタートアップは、AI、IoT、クリーンテック、医療機器、モビリティといった分野で世界水準の技術力を有します。

特に、インドでも顕在化している社会課題(医療アクセス、交通渋滞、教育格差など)を解決する日本発のモデルは、高く評価されやすい傾向があります。

2.2 日本品質と信頼性への期待

インドの消費者やビジネスパートナーにとって、“Made in Japan”は依然として信頼と品質の象徴。

BtoB/BtoG向けのソリューションにおいても、長期視点・品質重視のスタンスは大きな強みになります。

3. インドスタートアップ・エコシステムの全体像

3.1 スタートアップ・エコシステムとは?

スタートアップ・エコシステムとは、起業家、投資家、教育・研究機関、政府、支援組織(アクセラレーター、インキュベーターなど)などが相互に関わり合いながら、新しい事業や技術が継続的に創出・拡大していく環境のことを指します。

これらの要素が有機的に連携することで、資金調達、人材獲得、製品開発、グローバル展開までを一貫して加速できる「成長の土壌」が生まれます。

インドではこのエコシステムが急速に成熟しており、グローバル市場で戦うスタートアップの土台として機能しています。

3.2 インドにおける主要都市別エコシステム

インドのスタートアップ・エコシステムは、都市ごとに異なる強みを持ちながら拡大を続けています。

特にベンガルールムンバイ、ハイデラバード、グルガオンは、それぞれ異なる産業・技術分野に特化した独自のエコシステムを形成しています。

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これらの都市では、大学や技術研究所が人材を供給し、起業支援機関が事業を伴走。

加えて、VCやPEファンドが豊富な資金を提供するという「起業・成長・EXIT」の流れが整っており、東京都のスタートアップにとって参入しやすい土壌となっています。

3.3 グローバル企業も注目する成熟市場

Google、Amazon、Microsoftなどのグローバルテック企業も、インドを次の成長拠点として位置づけており、すでに現地スタートアップと協業・買収を進めています。

このようなグローバル資本の流入が、インドのスタートアップ・エコシステムをさらに強固にしており、日本のスタートアップが現地パートナーと連携するチャンスも広がっています。

4. インドの主要スタートアップ支援施設(アクセラレーター/インキュベーター)

インドのスタートアップ市場に参入するにあたり、現地のインキュベーターやアクセラレーターの活用は、スタートダッシュを切るうえで極めて重要です。

東京のスタートアップがグローバル展開を狙う際、こうした現地の支援機関をパートナーにすることで、事業開発・ネットワーキング・資金調達・制度対応を包括的にサポートしてもらえるメリットがあります。

以下は、特に注目される主要拠点です。

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4.1 T-Hub(ハイデラバード)

インド最大級のスタートアップ支援施設。政府・民間・学術が連携しており、メンタリング、PoC支援、VCマッチングなど、成長段階に応じた総合サポートが特徴。

海外スタートアップ向けのプログラムも多く、日本企業との提携事例もあり。

4.2 NSRCEL(IIMバンガロール/ベンガルール

インド有数の経営大学IIMBに併設されたアクセラレーター。

女性起業家支援やソーシャルインパクト系スタートアップ、AI・教育関連事業に特化。

スタートアップの知見とアカデミアの融合が強みで、実証実験の場としても活用できる。

4.3 UIncept(グルガオン

教育・医療・フィンテックなど社会インフラ型スタートアップの支援に注力。現地ニーズの分析や、MVP開発フェーズからの伴走支援に定評があります。

インド市場での「受け入れられるプロダクト設計」をサポートしてくれる点が魅力。

5. 資金調達と成長戦略におけるインドの魅力

5.1 ローカルVCとの接点が生むスケーラビリティの可能性

インドには、スタートアップの成長段階に応じて多様な投資家層が存在し、とくにシリーズA〜Cの投資が非常に活発です。

ベンガルールムンバイデリーNCRといった都市を中心に、Sequoia Capital India、Blume Ventures、Kalaari Capitalなど世界的にも著名なVCが拠点を構えています。

これらの投資家は、単なる資金提供だけでなく、市場展開、人材採用、法務・財務支援にまで踏み込んだサポートを提供しており、日本発スタートアップとの協業事例も増加傾向です。

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VCの審査基準には、プロダクトの現地適応力、創業チームの多様性、持続可能な収益モデルが重視される傾向があり、東京発スタートアップにとっては、技術力と実証済みビジネスモデルをセットで提示できるかが鍵となります。

5.2 クロスボーダー連携と政府支援の活用が加速中

近年では、日印両政府が支援するスタートアップ連携枠組み(例:Japan-India Startup Hub)を活用するケースも増えており、JETRO主催のピッチイベントや現地ネットワーキング機会を通じて、資金調達と事業連携が同時に進行する環境が整っています。

また、インドにはFICCI(インド商工会議所連盟)やTiE Delhi-NCRなどの起業支援団体が多数存在し、VCやCVCとの引き合わせをサポートしています。

特に、AIや気候テック、医療、B2B SaaS領域において、日本の技術とインドの市場ニーズが接点を持つ事例が顕著です。

5.3 日本企業による出資事例も拡大中

ソフトバンク・ビジョンファンドの投資を皮切りに、最近では日本のCVCや事業会社によるインド企業への出資事例も増加しています。

楽天キャピタル、リクルート、KDDIなどが出資した現地スタートアップは、日本との技術提携や製品導入にもつながる好事例を生んでおり、こうした資金+事業協業のモデルは今後のロールモデルとなる可能性があります。

6. 東京都スタートアップ企業の成功事例とその要因

6.1 Beyond Next Ventures:医療・バイオ領域での先行投資

東京拠点のVCであるBeyond Next Venturesは、医療・バイオ分野に特化した投資とインド進出支援を実行中。
ベンガルールに拠点を持ち、スタートアップの研究開発を現地で実装するモデルを確立し、技術主導の展開で成果を上げています。

6.2 テレックス・ベンチャーズ×Tokyo AI Community

AI分野で注目を集める連携事例として、東京のAIスタートアップとインドのVCが共同で投資ファンドを立ち上げました。
シード期からシリーズAに至るまでの包括的支援体制が整い、技術と資本の両輪での進出が進んでいます。

6.3 東京発スタートアップの進出事例

近年、東京都内のスタートアップによる直接的なインド進出事例も増えています。

Raksul(文京区発)
印刷・広告・物流のシェアリングプラットフォームを展開するユニコーン企業。
2020年にインド・バンガロールにテックセンターを設立し、現地のエンジニア人材を活用して新規プロダクト開発を推進。日本で培った事業モデルを現地市場向けに適応させながら、グローバル規模での事業スピードを加速させています。

AnyMind Group(港区発)
マーケティングDXやEC支援を手掛ける急成長スタートアップ。
2023年にはバンガロールにAIラボを設立し、生成AIやLLMを活用したサービス開発を現地で展開。さらに、ムンバイやデリーNCRにもオフィスを構え、現地企業やパートナーとの協業を通じてインド市場での存在感を高めています。
これらの事例は、

テックセンター設立による人材活用型(Raksul)
AI研究開発拠点+事業展開型(AnyMind Group)

といった多様な進出モデルを示しており、東京都のスタートアップがインド市場に挑戦するうえでの参考となります。

6.4 中小・非上場スタートアップの連携事例も

東京商工会議所などを通じた中小企業支援の枠組みでは、比較的資本の小さなスタートアップでも現地商社や大学との連携を通じて事業を展開。
BtoB分野でのプロダクト提供、現地での共同研究など柔軟な形での成功が見られます。

7. インド進出における課題とその乗り越え方

7.1 言語・法務・規制対応

インドは州ごとに法規制が異なり、業種によっては中央政府と州政府の両方の認可が必要です。

製品販売においてもBIS認証やGSTなどの規制に対応しなければならず、信頼できるローカルアドバイザーの活用が鍵となります。

7.2 人材確保とマネジメント文化の違い

インドの人材は優秀ですが、日本とは働き方や報酬に対する価値観が異なります。

現地法人の設立だけでなく、EOR(雇用代行)や人材エージェントを活用して、文化ギャップを乗り越える人材戦略が求められます。

採用について、詳しくはこちらの記事をご覧ください
➡️インド現地採用のすべて〜手続き、制度、採用チャネル、成功のヒント〜

7.3 リアルな市場調査と現地パートナー探し

オンラインの情報だけでは掴めない市場の【温度】を知るためには、短期の現地視察やテストマーケティングが効果的です。

展示会やローカルイベントへの参加を通じて、直接的なネットワーク形成とパートナー探索を進めましょう。

インドの市場調査は非常に重要です。
詳しくは以下の記事をご確認ください
➡️インド市場調査完全ガイド:成功への扉を開く戦略と実践

まとめ

インドは世界の成長センターとなるポテンシャルを持ちながらも、スタートアップ同士の国際連携はまだ発展途上です。

日本のスタートアップにとって「挑む価値のある市場」であり、東京の先端技術とサービスモデルが高く評価される土壌は整っています。

もちろん、言語・文化・商習慣の違いは無視できませんが、アクセラレーター・VC・大学など支援者が多く、共創のパートナーを得やすい環境です。

大切なのは、最初から完璧を求めるのではなく、小さな実証実験からスタートし、現地とともに成長していく姿勢。

東京都のスタートアップが、インドという世界最大級の成長市場を舞台に、次なる成長曲線を描ける可能性は極めて高いと言えるでしょう。

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参考URL:

市場調査サービス https://indo1985.com/service-service-detail-02
現地法人設立サービス https://indo1985.com/incorporation
営業代行サービス https://indo1985.com/sales-outsourcing

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